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なぜ景気が回復しても給料は上がらないのか

2013年8月12日月曜日

公認会計士まーやんの「ロジカるつぼ」(前編):

 アベノミクスの効果で、景気が上向いているという報道が増えてきていますね。しかし、本当に景気が良くなったということを、生活の中で実感できる機会はほとんどありません。円安や原材料高騰をはじめとした値上げ圧力で、むしろ生活は苦しくなっているような気がする、という人も多いはずです。端的に言うと「景気は良くなったというが、給料増えてないぞ?」というのが、普通の感覚だと思います。

 そんな中、労働調査会より『なぜ景気が回復しても給料は上がらないのか』という本が、7月30日に発売されました。景気と給料の関係は、表面的には経済学の範疇(はんちゅう)で扱うものですが、今回この本を書いているのは3人の弁護士です。労働法が私たちの給料、あるいは雇用を硬直化させたり、さまざまな「ひずみ」が生じていることを分かりやすく説明してくれている本です。

 いつもどおり書評を書こうとも思いましたが、これだけホットなテーマを扱った本ですから、「ただ書評にしてももったいないなぁ」ということで、思い切って著者代表で弁護士の倉重公太朗氏にインタビューしてきました。

●法律は常に正しいのか

眞山:今回、執筆にいたった経緯を教えてください。

倉重:私たちは労働法を専門とした弁護士として、企業の依頼を受けて裁判の案件、あるいは裁判にいたらないまでも、企業内で生じる案件を多く取り扱っています。

 当然労働法に照らして正しい処遇ができるように力を尽くしているわけですが、そのような案件に携わっていると、疑問を感じざるを得ない場面にしばしば出くわします。例えば、定時まで一生懸命仕事をして、きっちりと帰宅できる優秀な社員には残業代が出ず、パソコンの「ソリティア」に精を出して夕方から夜遅くまでダラダラ残業している人には残業代を出さざるを得ないケースもあります。

 なぜこんなことが起こるのか。それはやはり、労働法そのものに問題があるのではないか? そういう思いで執筆に至ったわけです。

眞山:本書は労働法を専門分野としている3人の弁護士の共著になっていますが、皆さん同じようなご意見のもとに本を書かれたのですか?

倉重:3人とも使用者(企業)側の弁護士ですが、この本に関しては「企業だけのためではなく、広く社会のためという観点からみた労働法の将来像を書こう」という思いで集まりました。もちろん細かい部分で、制度のあるべき姿についてははじめから同じ意見を持っていたわけではなく、ときにはかなりの激論をしました。

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