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あなたの言う「ブラック企業」は、本当にブラックなのか

2013年8月14日水曜日

メディアとWebと人材と:

 少し前から「ブラック企業」問題についてあらためて報道されるようになり、さまざまな意見に触れる機会が増えてきました。私の立場は「ブラック企業ってよくないよね」というありきたりなものなのですが、そもそも世間で言うところの"ブラック企業"って何だろうかという観点で、問題提起しようと思います。

●ブラック企業とハードワーク企業の違い

 ネット百科事典の「コトバンク」によると、ブラック企業のことを

労働者を酷使・選別し、使い捨てにする企業

と、あります。

 過酷な労働環境に置き、ノルマをこなせない社員にプレッシャーをかけ、退職に追い込んではまた新しい社員を採用する企業、といった感じでしょうか。ただ、中には「過酷な労働環境が待っている企業=ブラック企業」と解釈している人もいるように感じます。

 一方、ブラック企業と同じ過酷な労働環境であっても、将来のことを考えると自分のためになる「ハードワーク企業」もあります。今回は、そんなハードワーク企業とブラック企業とを混同しないでほしい、というお話です。

●「ハードワーク」と「むやみに働く」とは違うこと

 1つ、例を挙げましょう。中途の人材紹介会社によく出入りする身としては、「プログラムの書けるエンジニアがいない」という話をよく聞きます。立派な大学を出て有名な大手SIer(※)で働いている自称エンジニアは、職務経歴書を見ると外注管理くらいしか経験がないことがまる分かりです。そんな人材は紹介先がほとんどない――というのが、人材紹介会社のあるある話です。

※SIer=System Integrationの略称に「~する人」を意味する-erをつけて「System Integrater」とした造語。親会社を持たない、資本的に独立した会社。

 一方、激務で有名なSIerで働く社員は、コンサルティング・要件定義・設計・プログラミング・テストとすべてのプロセスを経験し、若いうちはとにかく自分でプログラムを書かせて社員を鍛えます。ちなみに、その会社名で検索すると、一時期は関連検索ワードに「○○(社名) ブラック」が含まれていました。

 しっかりと休みが取れて「無理をしないで働ける」大手SIerで10年働いた社員と、激務で有名なSIerで「常に自分をストレッチさせ続けて」10年働いた社員。どちらが中途の転職マーケットで評価されるかというと、たいていの場合、後者の社員のほうが高く評価されます(もちろん、前者が評価されるケースもありますが)。

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