ページ

スズキ大反発の軽自動車増税 規格見直しもありうると専門家

2013年8月30日金曜日

「率直に申し上げまして、弱い者イジメじゃないかと思います。『残念』というより『悲しい』の一言に尽きます」

 8月29日に開かれた新型軽トラック『CARRY』発表会の席上でこう心情を明かしたのは、連結売上高2兆5000億円以上を誇りながら"中小企業のオヤジ"を自認するスズキの鈴木修会長兼社長。

 長年、自動車業界のみならず政財界のご意見番として絶大な存在感を見せてきたカリスマ経営者も、今回は追い詰められている様子だった。

 なぜなら、車の排気量に応じて課税する「自動車税」の値上げを総務省が検討しているからである。しかも、2015年に廃止される自動車取得税の代替財源として、軽自動車税の値上げだけが俎上に載せられていることに、「遠慮会釈もない」とばかり鈴木氏は怒っているのだ。

 確かに1000cc以下の小型車でも2万9500円の税金が徴収される制度において、660cc以下の軽自動車が7200円というのは、格差がありすぎるとの批判が出るのも当然かもしれない。

 だが、維持費の安さと燃費を含めた目覚ましい技術向上で全保有車数の41%を占めるまでになった軽自動車の税金が大幅に上がれば、販売好調の勢いに水を差しかねない事態となる。自動車ジャーナリストの井元康一郎氏も危惧する。

「たとえば大幅増税で1万9800円なんてことになっても、まだ軽自動車を買う人はいるでしょうが、販売台数の落ち込みは避けられないでしょう。なんとか2倍以内の増税で収めなければ、軽自動車をコアビジネスとするスズキにとっては死活問題となります」

 軽自動車税は米国からも「不公平だ」と指摘されるなど、TPP交渉でも焦点のひとつになっている。では、スズキはこのまま国策にも巻き込まれる形で増税案を呑まざるを得ないのか。前出の井元氏は「隠し玉もある」と話す。

「税金を上げるなら全長3.4メートル以下、幅1.48メートル以下、4人乗りと制限されていた軽自動車の規格見直しを条件にすればいい。これまで日本ではそのサイズ、外国向けには少し幅を広げてと作り分けていたので無駄なコストもかかっていました。それが国際戦略車として売りやすい軽規格に変われば、大きなチャンスにもなります」(井元氏)

 鈴木氏は、行政関係者が税金を上げる根拠として必ず使う「軽自動車はもう普通車と同じくらい素晴らしいから……」のフレーズを極端に嫌ってきたという。なぜなら、極めて限定された規格条件の中で、他国のメーカーでは決して真似できないような軽自動車を数多く開発してきた自負があるからだ。

0 件のコメント:

コメントを投稿

 

人気の投稿