商社が穀物事業を拡大させている。丸紅が「穀物メジャー」の一角である米ガビロンを買収、三菱商事や三井物産もブラジルの穀物大手を子会社化して調達力を高め、消費が右肩上がりのアジアなどに売る戦略だ。石油や天然ガスなど資源以外の事業を伸ばし、リスクを分散させる狙いもある。
「中国などアジアの需要は、経済に関係なく伸びる」。丸紅の穀物ビジネスを率いる岡田大介常務執行役員は将来性を強調する。東南アジアなどでの畜産ビジネスにも手を広げ、飼料用穀物の輸出を増やす考えだ。
商社5位の丸紅にとって、ガビロン買収にかけた約2700億円は、年間の投資総額に及ぶ。大きなかけだが、米国で約140カ所の集荷拠点を持つガビロンの調達網と、丸紅がアジアで培ってきた供給網を結びつければ、収益拡大の余地は大きいと判断した。
丸紅は中国との大豆取引などで穀物事業を拡大し、取扱量は国内商社断トツの年2500万トン。ガビロンと合わせれば6000万トン規模に躍進する。世界の穀物ビジネスは、買い付けから販売まで手掛ける欧米の「穀物メジャー」が価格形成などで大きな影響力を持つ。丸紅はガビロン買収で米カーギル(約7500万トン)、米ADM(約7000万トン)の2強に迫る。今後は輸送用船舶や出荷港などに投資し、世界首位を視野に入れる。
◇リスク分散
世界最大の大豆生産国となったブラジル向けの投資も増加。三菱商事が6月に穀物大手セアグロの子会社化を決めた。三井物産も2011年、生産から集荷・販売まで手掛けるマルチグレインを買収し、農場経営に乗り出した。投資先を北南米から豪州にかけて分散し、干ばつで生産が減るリスクを薄める。
一方、中国やインドネシアなど、消費が拡大している新興国では加工や販売事業に参入する動きが加速している。三菱商事は11年に中国の食料最大手コフコと合弁で畜産・食肉加工会社を設立、今年4月にはインドネシアの製粉大手への資本参加を決めた。住友商事は昨年、中国・吉林糧食とコメの集荷・販売などで提携した。
◇高まる魅力
商社が穀物事業に注力するのは、新興国の人口増や中所得層の拡大で食糧需要が拡大しているためだ。米農務省によると、世界の穀物需要は2013年度には約24億トンとなる見込みで、この10年で約2割増えた。国連食糧農業機関(FAO)は、途上国の穀物輸入は今後10年で小麦が約14%、トウモロコシなどの雑穀は約3割増えると予測する。…
「中国などアジアの需要は、経済に関係なく伸びる」。丸紅の穀物ビジネスを率いる岡田大介常務執行役員は将来性を強調する。東南アジアなどでの畜産ビジネスにも手を広げ、飼料用穀物の輸出を増やす考えだ。
商社5位の丸紅にとって、ガビロン買収にかけた約2700億円は、年間の投資総額に及ぶ。大きなかけだが、米国で約140カ所の集荷拠点を持つガビロンの調達網と、丸紅がアジアで培ってきた供給網を結びつければ、収益拡大の余地は大きいと判断した。
丸紅は中国との大豆取引などで穀物事業を拡大し、取扱量は国内商社断トツの年2500万トン。ガビロンと合わせれば6000万トン規模に躍進する。世界の穀物ビジネスは、買い付けから販売まで手掛ける欧米の「穀物メジャー」が価格形成などで大きな影響力を持つ。丸紅はガビロン買収で米カーギル(約7500万トン)、米ADM(約7000万トン)の2強に迫る。今後は輸送用船舶や出荷港などに投資し、世界首位を視野に入れる。
◇リスク分散
世界最大の大豆生産国となったブラジル向けの投資も増加。三菱商事が6月に穀物大手セアグロの子会社化を決めた。三井物産も2011年、生産から集荷・販売まで手掛けるマルチグレインを買収し、農場経営に乗り出した。投資先を北南米から豪州にかけて分散し、干ばつで生産が減るリスクを薄める。
一方、中国やインドネシアなど、消費が拡大している新興国では加工や販売事業に参入する動きが加速している。三菱商事は11年に中国の食料最大手コフコと合弁で畜産・食肉加工会社を設立、今年4月にはインドネシアの製粉大手への資本参加を決めた。住友商事は昨年、中国・吉林糧食とコメの集荷・販売などで提携した。
◇高まる魅力
商社が穀物事業に注力するのは、新興国の人口増や中所得層の拡大で食糧需要が拡大しているためだ。米農務省によると、世界の穀物需要は2013年度には約24億トンとなる見込みで、この10年で約2割増えた。国連食糧農業機関(FAO)は、途上国の穀物輸入は今後10年で小麦が約14%、トウモロコシなどの雑穀は約3割増えると予測する。…
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