中でもプレミアムビールの勢いが強い。アサヒビールはギフト専用商品としては初めてプレミアムビール「ドライプレミアム」を投入し190万セットを売ったこともあり、ビールギフトの売り上げが8月20日までの累計で前年比11%の2桁増となった。また、サントリー酒類でも「プレミアムモルツ」のギフト出荷が前年比で5%伸びた。
業務用のたる需要の伸びも続いている。中でも従来の生ビールではない"変わり種"が需要拡大に貢献した。
アサヒが2010年から展開している、マイナス2度で提供する「エクストラコールド」ビールのサーバー設置店は、7月末で5400店を超えた。販売開始から12年末までの3年間で約3000店だったことを考えると、設置スピードは上がっている。
キリンビールでは、昨年から展開している生ビールの泡をシャーベット状にして生ビールの上に盛る「一番搾りフローズン〈生〉」の効果で業務用たる出荷は前年比プラスが続く。全国6カ所で夏限定のフローズン生を提供する「一番搾りガーデン」は、7月末までに来店客数22万人を突破した。
フローズン生のサーバーの設置店も、すでに年間目標数の2000店を突破。これらのビールは一般的に通常の生ビールより単価が高く人気もあるため、飲食店側にとって導入するインセンティブが働くことも設置増の要因になっている。
価格一辺倒から変化の兆しこれらに後押しされ、例年縮小が続いてきたビールが息を吹き返した。7月の課税出荷数量ベースでビールは大手5社(アサヒ、キリン、サントリー、サッポロビール、オリオンビール)で前年比5.6%のプラス。ビールの販売が前年比増となるのは、かれこれ2年ぶりのことだ。
内訳は、アサヒが4%、キリンが5.6%、サントリーが11.2%増。サッポロの「ヱビス」ブランドも7%増と、各社とも前年比増となり、キリンやサントリーはビール生産能力の増強に踏み切ったほどだ。
ビールの伸びにより、ビール類(ビール、発泡酒、新ジャンル合計)全体の出荷数量も7月単月としては前年比3.3%増となった。
これまで、価格が安い新ジャンル以外には成長余地がなく、毎年市場縮小に悩まされてきたビール業界。といってもビール類全体に占める新ジャンルの比率はいまだ高く、7月単月のビールの堅調をもって全体の潮目が変わったとみるのは早計だ。…
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