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野村不動産がマンションブームを牽引 高い契約率の秘密は?

2013年8月18日日曜日

 都心を中心に大型マンションが発売ラッシュを迎えている。7月の首都圏の新築マンション発売戸数は5306戸。前年同月比で3割も増えたという(不動産経済研究所調べ)。アベノミクスによる景気回復の兆しを受け、まさにマンションブームが訪れているのだ。

 マンション業界のトップランナーは、これまで三井不動産レジデンシャル、三菱地所レジデンス、住友不動産といった財閥系が中心だった。ところが、2012年度に5111戸を供給してシェアトップに躍り出たのは、売上高で三井のおよそ3分の1しかない野村不動産である。

 野村不動産がここまで躍進できたのはなぜか。住宅評論家の山下和之氏が語る。

「10年前から基幹のマンションブランドを『PROUD(プラウド)』に改め、高級イメージを前面に打ち出してきました。都心周辺や山手方面、また新浦安など人気の高いエリアに集中投下することで財閥系に負けないブランドイメージを確立したのです。いまや東急などは完全にブランド力で抜かれてしまったので、焦っているようです」

「プラウド」の販売価格は3000万円~7億円と幅広いが、同社広報部によれば「平均価格は5000万円台、購入層の平均年齢は800万円前後で都心になれば1000万円を超える」という。やはり、昨年末から続く株高による資産効果で、より高額な物件に人気が集中しているのか。

「確かに1億円以上のマンションを買う人はそれなりのストックを持っています。会社経営で自社株の含み益を得た人などもいます。ここ1年の最高価格は『プラウド南麻布』の4億円で完売しました。でも、全体に占める億ションの割合は2%程度ですし、一部の富裕層がマンションのマーケットを動かしているわけではありません」(北井大介・野村不動産ホールディングス広報IR部長)

 その証拠に、同社は2011年より2000万円台から購入できる郊外型の割安ブランド「OHANA(オハナ)」を供給し始めた。こちらは年収400~600万円で初めてマンションを買う層をターゲットにしている。プラウドで培ったブランド力やノウハウを「オハナ」にも部分的に移植させることで、二極化するマンション需要を取り込む戦略である。

 いくらブランドや価格のバリエーションを増やしても、最終的に物件が売れなければ在庫リスクを抱え込むことになるのがマンション業界の難しさである。だが、野村不動産のマンションは即日完売するところが多く、完成在庫の数が極めて低いことで知られる。

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