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日本マクドナルド再生 安売りで疲弊した牛丼の轍は踏まない

2013年8月28日水曜日

「原田マジック」の神通力もついにここまでか――。2004年にアップルコンピュータ(現・アップル)から畑違いの日本マクドナルドに転身し、8年連続で増収を達成したことから名経営者の誉れも高かった原田泳幸氏が、事業会社の社長を降板することになった。

「新しい経営タレントを投入したマネジメント強化で退任ではない」。8月27日の会見でこう繰り返したという原田氏だが、引責辞任と取られても仕方ないほど同社の業績は芳しくない。経済誌『月刊BOSS』編集委員の河野圭祐氏が語る。

「今年1~6月の中間決算発表では、クォーターパウンダーBLT/ハバネロトマトや1000円バーガーといった高価格帯商品を出したおかげで客単価こそ前年比で7.5%伸びましたが、客数がマイナス9.5%と振るいませんでした。このままいくと2年連続でマイナス成長となるのは濃厚です」

 原田氏はこれまで「100円マック」や定番のバーガー類を期間限定値下げするなど、低価格のサプライズ商品で集客を図り、サイドメニューやセット注文で客単価を上げていく"勝利の方程式"でデフレ時代を乗り切ってきた。だが、それが通用しなくなったことは、原田氏自身も認めていることだ。

<ビッグマックのような商品を、ディスカウントして200円で売るということを年に数回、1週間ずつやっていくと、一時的にはお得感が上がります。でも、繰り返しやっていると、お得感がだんだん下がってきます。これはたぶん、牛丼チェーンがやってきたことと同じなんですよ>(『月刊BOSS』10月号インタビューより)

 また、8月9日に開かれた決算説明会では、こんなことを言っている。

<ボーナスが増えたからマックに行く回数を増やすとは考えにくい。グレードを上げて、デパートのレストラン、さらに上の、ホテルのレストランにシフトしたような現象が起こっているかもしれない>

 アベノミクスによる景気回復基調で、外食業界にも高級志向が漂っていることは当サイトでも度々報じてきた。ならば、マックはこの先、高級ハンバーガーチェーンに生まれ変われば客足も戻るのかといえば、それほど単純な話ではない。日本フードアナリスト協会所属のフードアナリスト、重盛高雄氏がいう。

「高価格のバーガーをたくさん出せば、興味本位の新しいお客さんを引き込めると思いますが、従来の固定ファンを裏切ることになります。価格相応で手頃な商品が揃っているというファストフード本来のあり方を再度見直すべきだろうと思います」

 この「価格相応」こそ、マック復活のカギを握ると重盛氏はみている。

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