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<カネボウ>外部調査「事なかれ主義」…「白斑」問題

2013年9月12日木曜日

 カネボウ化粧品の美白化粧品で大規模な白斑被害が広がっている問題で、11日公表された外部有識者による第三者調査結果は、顧客や社員、医師から繰り返し寄せられた被害報告を放置してきた同社のずさんな姿勢を浮き彫りにした。カネボウは信頼回復に躍起だが、不祥事に伴う消費者の「カネボウ離れ」は深刻で、親会社の花王を含め経営への打撃は避けられそうにない。

 調査報告書などによると、カネボウは2008年9月、美白成分「ロドデノール」を配合した化粧品の販売を開始。少なくとも11年の年初には使用者に白斑被害が出始め、同年10月にカネボウに最初の被害報告が寄せられた。ところが、同社はその後の被害報告も含め「病気による症状」と判断し適切な対応をとらなかった。結局、問題発覚は被害者を診察した医師から症例報告があった今年5月までずれ込み、被害者は9月1日時点で9959人に拡大した。

 なぜ、発覚が遅れたのか。調査を担当した中込秀樹弁護士は11日の会見で「組織的な問題が大きい。事なかれ主義で(問題を)放置した」とカネボウの構造的な問題を指摘した。

 カネボウは伝統的に販売員の役割が強く、「クレーム対応も販売員の接客の延長になっており、お客様が『病気だ』と納得すればそれでよしとしてしまっていた」(カネボウの夏坂真澄社長)。さらに独立した品質管理部門もなく、異常が発生した時に、どこに情報を集中すべきか定まっていないなど体制にも欠陥があった。

 業界内では「ロドデノールはそもそも成分が強い。それを主力製品に一斉に使うカネボウの姿勢に危うさを感じていた」(大手幹部)と美白効果ばかりを優先し、被害を拡大させたカネボウに対する批判も強い。夏坂社長は「当たり前のことをどこまで徹底できるか。全社員が変わらなければならない」と強調したが、体質改善を含めた信頼回復は容易ではない。【松倉佑輔西浦久雄

 ◇賠償拡大、訴訟に発展も

 白斑問題の拡大を受け、カネボウ化粧品の経営への打撃もさらに大きくなりそうだ。同社の年間の売上高は約1900億円。回収対象は8ブランド54製品で、売上は約50億円に過ぎないが、ブランドイメージの失墜で他の主力化粧品の売り上げも不振が続いている。回収発表後の7〜8月の売上は前年同期比で約2割も減少した。

 夏坂社長は11日の会見で、白斑の原因とみられる美白成分「ロドデノール」を使わない、新たな美白化粧品を年内にも発売する考えを示したが、「他社に流れた顧客を取り戻すのは容易ではない」(百貨店関係者)。

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