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日本はまだまだ甘い! 世界のブラック企業の現実

2013年9月12日木曜日

伊吹太歩の時事日想:

 2013年夏の参議院選挙のあたりをピークに大きな話題になった「ブラック企業」。最近では言葉の認知度も高まり、「あの企業はブラック企業だねえ」なんて話が通じるようになった。

 2013年9月、厚生労働省がブラック企業の実態調査に乗り出した。1カ月をかけて行われる調査は全国の4000社が対象になる。法令違反や改善の見られない企業は、労働基準監督署が送検して社名を公表するという。

 法治国家の日本で法律に抵触するような労働を求めるのはとんでもないことだ。でも世界を見渡せば、日本の「ブラック企業」は生ぬるく、ブラック企業の問題は大したことではないようにすら思える。文字通り世界で人々は死に物狂いで働いている。古今東西、カネを稼ぐのは大変なことなのだ。

 統計を見ても明らかだ。国連の国際労働機関(ILO)による調査によれば、仕事上の事故や仕事が原因による病気で、世界で毎日6300人が死亡している。15秒に1人の割合で仕事がらみで命を落としていることになるのだ。年間で見れば230万人以上。また職場で発生する事故件数は年間3億1700万件で、そのうちの多くの人が一時的でも仕事を継続できないに状態になっている。

 特に死亡例などの多い職業は、農業、漁業、鉱業。ILOによれば「国や経済部門、社会グループによって仕事における安全性と健全性は大きく異なる。死亡や負傷のケースは、特に多くの人たちが有害な仕事に従事する途上国で顕著だ」と指摘している。「日々の災難による人的損出は莫大であり、職業的な安全と健全さが貧弱であるために発生する経済的損出は、年間で世界全体のGDPの4%ほどに達するとみられる」

●日給10ドルの仕事で強盗に襲われる

 世界にはどんな過酷な仕事があるのか。世界労働人権研究所のチャールズ・カーナガン所長にいわせれば、現在、最も危険だと思われる仕事はパキスタンやバングラデシュの船舶解体業。安全装置もなくほぼ普段着のままで巨大な船舶を解体し死傷者が続出、アスベストによる健康被害も報告されている。雇い主は何ら対策を行わず、仕事の機会を与えるだけ喜べと開き直る者もいると聞く。「ブラック」どころの話ではない。

 危険という意味では、中米のグアテマラでは2005年から1400人のバス運転手が殺されている。乗客などに強盗目的で撃ち殺されるのだが、財政が逼迫(ひっぱく)している運営側も大した対策ができないでいる。

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