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PS4の日本発売を遅らせ 割安にするソニーの賭け

2013年9月17日火曜日

 ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)が今年11月に発売する「プレイステーション(PS)4」で、イチかバチかの賭けに出た。日本での発売を来年2月にずらし、規模の大きな欧米市場を優先、価格も従来と比べると低めに設定したのだ。

 欧米市場ではクリスマス商戦が最大のヤマ場。そこで、ハードを優先的に供給することで、品切れを防ごうというのが狙いだ。現に8月時点で予約が100万台を突破し、「計画以上の注文を受けた」(アンドリュー・ハウス・SCE社長)と手応えを感じている。

 価格も4万1979円(税込み)と、2006年に出したPS3が発売当初5万~6万円していたのとは対照的で、割安なのが特徴だ。PS2が1億5500万台を販売したのに対し、PS3の販売台数はその半分にとどまるなど、市場縮小が続いていることが背景にある。発売当初は売れれば売れるほど赤字となる逆ざやが発生するが、市場活性化のために価格には、あえて目をつぶった格好だ。

 SCEは、もはやPS4で失敗は許されない。ソニーにとって、ハードとソフトの融合を具現したゲーム事業は「中核」(ハウス社長)だからだ。

 ソニーの大株主で米投資ファンドのサード・ポイントは、同業他社より収益性が低いとして、ソニーのエンターテインメント事業の分離上場案を提案したが、ソニーはそれを拒否した経緯がある。それだけに、その判断が正しいことを証明しなければならないのだ。

 任天堂の「Wii U」も、昨年11月の発売当初こそ米国で品切れが続出したものの、その後、魅力的なソフトが続かず失速している。ソニーのPS4も同じ懸念を払拭できずにいる。

ソフト供給に残る不安

 実際、日本への投入時期が遅れるのには別の理由もある。日本市場向けソフトがそろうのに時間がかかったからだ。これについてハウス社長は、「日本のユーザーには、ハードもソフトもそろった段階でお届けしたい」と話す。ちなみに、現時点では、19タイトルがハードと同時発売の予定だ。

 PS4向けゲームソフトは開発費用が国内向けで数十億円、欧米向けで50億円強、さらに、大作は100億円を超えることが珍しくない。ハードが普及することを確信できるまでは、ソフトメーカーも開発に様子見する傾向が強まっている。ソフトが出なければ、ハード市場が停滞し、さらにソフトが出なくなるという悪循環が起きている。

 他方、米アップルがスマートフォンの基本ソフト(OS)をアップグレードするなど、スマホの高機能化も進んでいる。

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