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三陽商会、バーバリーに代わる収益柱みえず ファンドや大株主による買収観測も浮上

2014年6月26日木曜日

 5月、三陽商会は英バーバリーと結んでいた高級ブランド「バーバリー」のライセンス契約を、2015年6月に終了すると発表した。派生ブランドの紳士服「バーバリー・ブラックレーベル」と婦人服「バーバリー・ブルーレーベル」は15年7月以降から、「バーバリー」の名前を使えなくなる。英バーバリーは三陽商会とのライセンス契約終了後、日本国内の直営14店と、譲渡を受ける子供服の50店を加えた64の直営店で本格展開する。

 戦後、「サンヨーレインコート」からスタートしてアパレルメーカーに変身した三陽商会は、バーバリーとともに成長してきたといっても過言ではない。ライセンス製造した「バーバーリー・ロンドン」は重厚なイメージで高価だったため、日本の若い世代にはあまり受け入れられなかった。しかし、1996年に立ち上げた若い女性向けのバーバリー・ブルーレーベルは人気歌手の安室奈美恵が愛用したことから大ブレイク。98年には若者向けのバーバリー・ブラックレーベルを展開し、両ブランドが三陽商会の成長の原動力となった。

 三陽商会がバーバリーブランドを失うことの影響は甚大だ。三陽商会のバーバリー事業の業績は開示されていないが、派生ブランドを含めると13年12月期の同社の売上高1063億円の過半、本業の儲けを示す営業利益70億円の大半を稼ぎ出したとみられている。契約が終了する15年12月期の業績については、売上高は960億円、営業利益は2億円。年間を通してバーバリーの売り上げがなくなる16年12月期は売上高850億円、営業損益は20億円の赤字に転落すると同社はみている。

 バーバリーが日本に直営店を出した09年当時から、アパレル業界では「三陽商会との契約を終了するだろう」との予想が広がっていた。ライセンス契約の継続が危ぶまれていた数年前から、三陽商会は落ち込みに歯止めをかける準備をしてきたはずだ。だが、英「マッキントッシュ」や米「ポール・スチュアート」、自社ブランドの「エポカ」とも十分な成果が出ておらず、落ち込みを埋める援軍になりそうもない。

●流れる買収観測

 ライセンス契約の終了を発表して以降、三陽商会の株価は急落した。4月1日に年初来高値の310円をつけていたが、5月20日に年初来安値の210円にまで下落。その後も220円前後で膠着状態だ。高値から30%以上株価が下がれば、買い集めた株式をまとめて転売することを狙った投資ファンドによるM&A(合併・買収)の標的になりやすい。

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