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<アルストム買収>仏政府が米GE案を支持 三菱重工及ばず

2014年6月21日土曜日

 【ロンドン坂井隆之】仏重電大手アルストムのエネルギー部門の買収を巡り、フランスのモントブール経済相は20日、パリで記者会見し、米ゼネラル・エレクトリック(GE)案を支持すると明らかにした。仏政府がアルストムに最大20%出資する意向も表明した。アルストムに対しては三菱重工業・独シーメンス連合も買収を提案しているが、外資による買収を認可する権限を持つ仏政府が支持したことで、GEによる買収が濃厚になった。

 モントブール氏は会見で、シーメンス案は欧州連合(EU)欧州委員会の独占禁止規定に抵触する恐れがあると説明。ガスタービン事業などでEU域内のシェアが5割を超える可能性があることを懸念したとみられる。その上で「三菱重工とシーメンスからの提案は非常に真剣なものだったが、政府は心を決めた」と強調した。

 一方でGEに対しても「アルストムは政府が管理する」と述べ、アルストムへの政府出資を受け入れるよう求めた。またGEが約束の「新規雇用1000人」を果たせなかった場合「ペナルティーを科す」とした。アルストムは23日までに提携先を最終決定する。

 GEは当初、アルストムのエネルギー部門を約1兆7000億円で丸ごと買う案を示した。だが仏政府が「エネルギーの安全保障が脅かされる」と難色を示したことから、折半出資の合弁会社にエネルギー事業を移管▽原発事業について政府が拒否権を持つ▽GEの鉄道事業をアルストムに売却−−などとする案を19日に再提示。オランド仏大統領がイメルト会長兼最高経営責任者(CEO)らGE幹部と20日に会談し、GE案支持を決めた。

 三菱重工・シーメンス連合は20日に買収額を12億ユーロ(1666億円)増額するなど対抗したが、及ばなかった。シーメンスのケーザー社長は同日夕、「エネルギー技術分野における仏政府の政治的利益を尊重し、理解する」との声明を発表した。三菱重工も21日、「仏政府に『不支持』とされた結果を残念に思う。仏産業界との協力関係を発展させる方針に変わりはなく、他企業との提携も視野に入れて引き続き事業の伸長を図る」とのコメントを発表。両社は仏政府の意向を受け入れる方針とみられる。

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