2009年末に過払い金返還請求の急増で私的整理の一つである事業再生ADR(裁判外紛争解決手続き)に追い込まれたアイフル。銀行団から2721億円に上る債務の弁済を猶予されたが、弁済期限が7月10日に迫っていた。
5年間にわたって大リストラを伴う経営合理化を進め、計画を上回る弁済を行ってきたものの、依然として1617億円もの債務が残っていた。むろん、過払い金返還に苦しむアイフルに返済する原資はない。故に、金融機関に新規融資をしてもらうか、さらなる返済猶予に応じてもらうかといった交渉を銀行団と続けてきた。
この交渉がまとまったのが6月13日。内訳は、三井住友信託銀行などからの新規融資が約800億円、金融機関14行による返済猶予で527億円、そして300億円の社債を発行することで、金融支援の継続が決まった。
ネックは外資系債権者最終損益が黒字化し、新規顧客も増加基調にあるなど、事業環境が好転しているため、この支援継続は当然かと思いきや、実のところ、アイフルと銀行団との交渉は熾烈を極めた。
とりわけタフな交渉となったのが、冒頭のヘッジファンドなどの外資系債権者との駆け引きだ。一括弁済する原資がないならば、株式に転換する権利があるワラント債や新株予約権付き転換社債の発行などを求められていたのだ。
だが、これらを発行し、株式に転換されてしまえばダイリューション(株式の希薄化)が起こる上、経営権が脅かされる可能性があった。というのも、アイフル社長の福田吉孝氏一族が保有するアイフル株の割合は約39%にすぎないため、場合によっては3分の1を割り込み、重要事案を否決する権利を失いかねないからだ。
それ故、外資系債権者の要求はアイフルにとって、できない相談だった。最終的に社債300億円との交換で何とか切り抜けたが、「上限金利が最大で18%に抑えられている中、年率8%という重い金利負担」(アイフル幹部)をのまざるを得なかった。
厳しいのは社債だけではない。新規融資約800億円についても、まだ決まっていないものの、年利3~4%となる見込みなのだ。実は、残債の1617億円の利率は2%でしかない。つまり、先の社債と合わせて大幅な金利負担がアイフルにのしかかることになる。…
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