ワーキングマザーの92%が、出産前より仕事への意欲が上昇しているんだそうだ。
ワーキングマザー(以下WM)は仕事にも意欲的で、前向きに頑張っているんだそうだ。その姿を見る女性社員の69%が、WMになりたいと答えているそうだ。ふーん。
「本当でしょうか? 捏造ではと思うほど、私の周りには、疲弊している人が多いのに……」と、あるWMは不信感を滲ませる。この数字はWMたちの気持ちを盛り上げようとしてくれているのかもしれないし、世間の非WM社員に「もっと分かってあげて」と理解を求めているのかもしれない。「でも当事者としては、『女性の活用』という言葉を武器に、産めよ働けよと焚き付けられた挙げ句、みんな楽しくやる気に満ちてますよ、毎日悶々としながら疲労困憊なのはあなただけかもよ?みたいな感じで突き放されている感じがします……」そのWMは疲れた表情でうつむいた。
「……私の単なる被害妄想でしょうか」。
いいえ、被害妄想なんかじゃありません。実際、日本はあるとき突然「女性の活用」と口走って、ホラホラ楽しいWMライフ、キラキラ素敵なWMライフ、と太鼓叩いて盆踊りを始めたんです。そこに放り込まれた当事者たちの「もう疲れた」「少し休みたい」の声は、大きな太鼓の音にかき消されてしまっているんですよ。
踊るための舞台ばかりどんどん設営されるのに、一息つくための場所がない。そして、踊らされ続けるWMたちの姿を遠巻きに眺める観客たちは、中には苦虫を潰したような顔で見ているものもいる。「まだまだ、もっと踊れるでしょう!」と檄を飛ばしにくるのもいる。「母親のくせに」と、子育てイコール母親のパラダイムのまま説教しにやってくるのも、まだいる。WMを取り巻く環境は、まだまだ全く整備なんてされちゃいないのだ。
日本のWMを取り巻く環境は、変わりつつはあるが、変わらない部分の方が依然広い面積を占める。政策が走り社会が変わる過渡期に起こる摩擦の圧力が向かう先は、当事者であるWMだ。その彼女たちが、いま疲れ果てている。
約15年前、私が小さい子どもを育てながら仕事を探し始めたとき、まだ「ワーキングマザー」なんて言葉さえ日本には浸透していなかった。そんな頃、言った本人にははるか忘却の彼方だろうが、言われた私はまるで狸のようにしつこく覚えている言葉がある。
「えっ、小さい子がいるの。なぁんだ、あなたワケありですか」
よくスーパーの暗くて湿った片隅とかにあるじゃないですか。…
ワーキングマザー(以下WM)は仕事にも意欲的で、前向きに頑張っているんだそうだ。その姿を見る女性社員の69%が、WMになりたいと答えているそうだ。ふーん。
「本当でしょうか? 捏造ではと思うほど、私の周りには、疲弊している人が多いのに……」と、あるWMは不信感を滲ませる。この数字はWMたちの気持ちを盛り上げようとしてくれているのかもしれないし、世間の非WM社員に「もっと分かってあげて」と理解を求めているのかもしれない。「でも当事者としては、『女性の活用』という言葉を武器に、産めよ働けよと焚き付けられた挙げ句、みんな楽しくやる気に満ちてますよ、毎日悶々としながら疲労困憊なのはあなただけかもよ?みたいな感じで突き放されている感じがします……」そのWMは疲れた表情でうつむいた。
「……私の単なる被害妄想でしょうか」。
いいえ、被害妄想なんかじゃありません。実際、日本はあるとき突然「女性の活用」と口走って、ホラホラ楽しいWMライフ、キラキラ素敵なWMライフ、と太鼓叩いて盆踊りを始めたんです。そこに放り込まれた当事者たちの「もう疲れた」「少し休みたい」の声は、大きな太鼓の音にかき消されてしまっているんですよ。
踊るための舞台ばかりどんどん設営されるのに、一息つくための場所がない。そして、踊らされ続けるWMたちの姿を遠巻きに眺める観客たちは、中には苦虫を潰したような顔で見ているものもいる。「まだまだ、もっと踊れるでしょう!」と檄を飛ばしにくるのもいる。「母親のくせに」と、子育てイコール母親のパラダイムのまま説教しにやってくるのも、まだいる。WMを取り巻く環境は、まだまだ全く整備なんてされちゃいないのだ。
日本のWMを取り巻く環境は、変わりつつはあるが、変わらない部分の方が依然広い面積を占める。政策が走り社会が変わる過渡期に起こる摩擦の圧力が向かう先は、当事者であるWMだ。その彼女たちが、いま疲れ果てている。
約15年前、私が小さい子どもを育てながら仕事を探し始めたとき、まだ「ワーキングマザー」なんて言葉さえ日本には浸透していなかった。そんな頃、言った本人にははるか忘却の彼方だろうが、言われた私はまるで狸のようにしつこく覚えている言葉がある。
「えっ、小さい子がいるの。なぁんだ、あなたワケありですか」
よくスーパーの暗くて湿った片隅とかにあるじゃないですか。…
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