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売り上げが伸びる選択肢の設定法

2014年6月30日月曜日

■プラン提示は多いほどいいのか?
「『さあ、この3つのプランでいかがでしょうか』という人をよく見かける。なぜ、自分で決めて「このプランに自信があります」と、ひとつに絞れないのだろう」
先日、友人のLがニューヨークからやって来たので話をしていた。以前にもこの連載に登場した大手証券会社の世界の9割をまかされるマネージャーだ。最近は、自分がプレゼンを受けることも多くなり、こんな風に感じるようだ。それは私も耳が痛い"相手に選択の荷を負わせ、時間を浪費させること"だった。
たとえば2つのプランを提示するとしよう。これなら、1本のときよりもヒットする確率が高まるかもしれない。そして、3つのプランがあれば、およそすべてをカバーしてより確実な気がしてしまう。だから、複数のプランを用意してみる。ところが、今度は提示された側で"選択"を迫られることになるから、すべての資料に目を通して考えをめぐらせる時間が必要になる。
以前にも書かせていただいたが、「忙しい人にこそ、ポイントを突いたプレゼンを投げることが重要」だ。最たるところがエレベーターピッチであり、短時間で複数のプランを提示することなどありえないだろう。選択肢を増やしたことでポイントを突くことができなければ、時間を浪費するばかりでなく、結局は両者のニーズを満たせないかもしれない。相手に選択肢を与えればいいというものではないわけだ。
では、今度は視点をマーケットに移して顧客の前に選択肢を置いてみる。シーナ・アイエンガー教授が「豊富な選択肢は売り上げを伸ばす」というお店の方針を実証しようとした実験がある。その結果がおもしろいので見てみよう。
■多すぎる選択肢は、決定の妨げになる
「ジャムの法則」はご存知の方もいらっしゃるだろう。カリフォルニアのあるスーパーは、オリーブオイルだけでも75種類を取りそろえる高級スーパーマーケットだ。ここで研究者のシーナ・アイエンガー氏とマーク・レッパー氏は、ある週は6種類のジャム、別の週には24種類のジャムを並べて購入反応をみた。24種類のジャムが並べられたときは買い物客の60%が試食したが、6種類では40%しか試食しなかった。ところが、24種類を並べた棚では3%の人しか購入せず、6種類のときには30%が購入するという逆転の現象が起こったという。まとめると、こういうことだ。
      試食 → 購買

ジャム24種類 60%   3%

ジャム 6種類 40%   30%
つまり、たくさんの選択肢が必ずしも相手の行動を促すとは限らず、たくさんの選択肢は人の興味は引くものの、むしろ意思決定の妨げになるという結果になった。

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