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田中社長の拡大路線が浸透 東芝、再エネ発電参入のなぜ

2013年12月10日火曜日

 東芝が再生可能エネルギー分野に急傾斜している。発電機器メーカーとしてではなく、自らが発電を手がけようというケースが相次ぎ、2013年に入ってすでに3件を数えているのだ。

 11月に発表したオリックスとの新会社設立で、目指すのは地熱発電。この分野では、発電機器メーカーとして、世界トップシェア(設備容量ベース)の納入実績を誇るが、岐阜県奥飛騨温泉郷で事業性を検証後、15年の発電開始を目標に出力2000キロワット規模の地熱発電所の建設を進める計画だ。東芝は資本金1億9800万円のうち55%を出資する。

 3月には太陽光発電、9月には風力発電への参入を発表済みだ。

 この一連の流れを東芝関係者は「発電事業で売上高を伸ばそうというよりは、その経験をフィードバックして本業の機器売りを拡大したいという狙いがある」と説明する。その根底には、13年6月に就任した田中久雄社長の売り上げ拡大路線がある。

 東芝の売上高は、ピーク時の07年度には7.4兆円弱まで膨らんだが、12年度は6兆円を切った。一時の危機を乗り越え、利益が出せる体質に戻った今、田中社長は「売上高の成長による規模の拡大が使命」と言ってはばからない。

東芝未開の市場を開拓

 そこで打ち出したのが、自ら命名した「360度マーケティング」という手法だ。あらゆる方向へ事業化のアンテナを張って、東芝の技術が生かせそうな未開の市場を開拓し、全社挙げて規模拡大を目指すもの。東芝の各社内カンパニー社長たちは、いっせいにその宿題を課された。部品材料事業統括部では、DNA検査という既存技術を応用して農業分野への参入も果たした。

 同様に、電力システム社のカンパニー社長を務める五十嵐安治専務は、「事業の再点検を行い、今までやっていない事業領域に入るには何をすべきか考えた」と言い、その答えが、再エネの発電事業参入だったというわけだ。

 ただ、電力システム社にとっても東芝全社にとっても、360度マーケティングが大きな成果を挙げるのは当分先の話だろう。

 足元を見れば、事業の柱の一つである原子力発電機器事業が苦境にあえいでいる。国内の原発がすべて停止し、定期検査などのメンテナンス事業がストップしてしまっているためだ。「当初考えていたよりも再稼働に時間がかかりそう」(五十嵐専務)と、不確実性は予想以上だ。

 そのため、現在は若手中心に原子力部門の人員を火力部門に転員。原子力に戻った際に経験を生かせるEPC(設計・調達・建設)の任に当たらせている。

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