12月11日までのこの1カ月間の終値を比較すると、日経平均が200円以上、上下したのは9日に上ったのに対し、ニューヨークダウ工業株30種平均が200ドル以上、上下したのはゼロである。単位は違うがたまたま表面上の数字が近いダウ平均と比較すると、ボラティリティの高さは際立つ。
日経平均はなぜ、かくも大きく振れるのか。
その理由は指数算出の特性にある。日経平均は東証1部の225銘柄の株価の単純平均であり、株価の高い値がさ株の動きにより大きく左右されるため、こうした企業の株価が大きく上下すると引きずられやすい。ダウ平均も単純平均だが、株価の単位がおしなべて低いため一部の株式に振り回されにくい。
値がさ株が振り回すここ最近、日経平均乱高下の元凶とされたのが、ソフトバンク、ファーストリテイリングといった値がさ株の動向である。ソフトバンクは1株当たり8000円台、ファーストリテイリングは3万円台後半にもなるため、たとえ変動率が同じであっても、株価200円台のみずほフィナンシャルグループとは寄与度が違ってくる。
グラフを見てもらえばわかるが、この両社は11月に入って総じて株価が上昇しているものの、時折調整が入るため、日経平均もところどころで大きな下げを演出しているのだ。
日経平均を東証株価指数(TOPIX)で割った「NT倍率」で見ても、値がさ株主導の相場が見て取れる。ちなみにTOPIXは東証1部上場の1775銘柄(12月12日現在)の時価総額の合計を指数化したものであり、値がさ株よりは時価総額の大きな株式に影響を受けやすい。
右グラフのように、NT倍率は日経平均が上がり始めた11月中旬以降に上昇し、同月22日には、12.32倍とITバブル期の2000年以来の水準となり、その後は12.4倍前後で推移している。
TOPIXが振るわないのは、時価総額の大きい銀行株が低迷しているからと指摘する市場関係者も少なくない。
日経平均のボラティリティの高さをさらに後押しするのが海外の投機筋だ。先月以降の株高は、米国経済の回復が底堅いとの観測により、円売りドル買いが進むと見た海外ヘッジファンドが、米国市場で日経平均先物を買い進めたことで始まったとされる。…
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