セブン&アイが「オムニチャネル」と呼ばれる新たなビジネスモデルの構築にかじを切り始めた。店舗(リアル)とECサイト(ネット)の継ぎ目をなくすことで、いつでもどこでも同様の買い物体験を提供する考え方のことだ。
スマートフォンの普及で、ECサイトで店舗と同一の安値商品を探して購入する「ショールーミング」が広がる中、小売り各社は顧客の流出を防ぐためにオムニチャネルへの対応に乗り出している。
その象徴ともいえる動きが、セブン&アイによる通販大手、ニッセンホールディングスの買収だ。約126億円を投じ、議決権割合で50.1%の株式取得を目指す。
その狙いは大きく三つある。
一つ目はニッセンが抱える約3200万人の通販会員という顧客基盤の開拓である。
二つ目はニッセンが持つカタログ作りの技術だ。「ネット時代に入っても生きる」(村田紀敏・セブン&アイ社長)とその魅力を語る。
三つ目が商品開発力の強化。「オムニチャネルで重要なのはシステムではなく商品だが、現在はネット通販で売れる商品は多くない」(鈴木会長)として、新たな商品の開発を急ぐ。
ニッセン側にもメリット一方、店舗がほとんどないニッセンからすれば、セブン&アイグループの売り場にサンプル商品を置き、全国のセブン-イレブン店頭で24時間、商品の受け渡しも可能になるなど利便性が高まる。
セブン&アイは今年6月、数十億円を投じて埼玉県にEC事業専用の物流センターを建設。今秋には約1000億円を投じて在庫情報を一元化するシステムを構築することを決めた。これによって、近い将来にはグループ全社で取り扱う約300万商品をネットで購入し、セブン-イレブン店頭で受け渡しができるようになる。
セブン&アイが急速にオムニチャネル化に乗り出す背景には、「国内にあるグループ約1万7000の店舗が、これからのネット社会においては非常に有効になる」(村田社長)との自信があるからだ。
米国では、アマゾンがコンビニやドラッグストアなどに配達商品の受け渡しロッカーを設置するなど、商品を受け渡す"場所"の重要性が増しており、この「ラスト1マイル」を押さえることが勝敗を左右するともいわれる。
日本ではさらに小さい「ラスト200メートル」を大手コンビニが押さえている。…
0 件のコメント:
コメントを投稿