なぜ外食業界はブラック化するのか。いろいろと理由はあるが、競合が激しく、結果的に「低価格」や「長い営業時間」でお客の利便性を追求せざるを得なくなり、そのしわ寄せが労働者の長時間労働や低賃金化につながってしまう構造が一番の問題だ。営業時間以外にも、食材の仕込みや清掃などの付帯的な業務時間は必要だし、アルバイトに残業をさせたり、深夜まで働かせたりすると時給も割高になるため、結果的に社員が長時間労働せざるを得なくなるという悪循環に陥り、疲弊している現場も多い。
「安くていつでも営業している」状態はユーザーにとってはありがたい限りだが、そこで働く側にとっては真逆の環境になる。しかも、景気回復の兆しが見えたことで、全体的な求人採用動向も好調になってきた。ブラックであることが最初からわかっている外食業界にあえて入ろうとする人材が少なくなれば、企業側にとっても死活問題だ。
●パート・アルバイトへも、手当・休暇を充実させている企業そんな「業界総ブラック状態」な外食業界だが、中にはブラック度合が相対的に低い企業も存在している。しかも、意外と皆さんの身近にあったりするのだ。いくつかの事例をみてみよう。
【事例1 テンアライド(居酒屋「天狗」「テング酒場」を運営)】
同社では創業した44年前から、「顧客満足の実現は、従業員満足から」を合言葉に、従業員への制度や待遇を徹底している。
店長手当のほか、住宅手当(家賃半額補助)や持家手当を支給。持株制度や退職金制度も完備。アルバイトなら給与の週払いも選べ、経験を積めばアルバイトでも正社員並みの給与を得ている人もいるようだ。
休暇は通常の有給に加え、産休、育休、介護休暇、そして夏冬各5日間の連続休暇制度がある。制度として存在しているだけではなく、社長自ら「休みをとれ」と促しており、実際に取得できているようだ。しかも、パートやアルバイトにまで有給は付与される。…
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