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聞き手のテクニックで一変! ――部下を“説明上手”に変えるトーク術

2013年12月19日木曜日

田中淳子の人間関係に効く"サプリ":

 「話すのと聴くのではどちらが得意ですか?」あるいは「話すのと聴くのではどちらが苦手ですか?」と質問すると、たいていの方が、「聴く方がまだまし」「話すのは難しい」と言う。

 「上手に説明するのは難しい」「言いたいことを伝えるのはテクニックがいる」「話す"中身"だって必要だし」と、「話す」ことに対する苦手意識を持つ方は多い。「聴く」ほうはどうかというと、「聴くのは、さほど難しくない。相手が話してくれるわけだから」「自分は"聴く"だけだから、話すよりは楽」という答えが返ってくる。

 しかし、実は話すのと同じように聴くのも難しい。聴いているつもりでいても、自分が思っているほど相手の話をきちんと聴けていないこともある。なぜかというと、人は話を聴きながら、"自分はその話にどう反応すればいいか"を考え始めてしまうからだ。

 例えば、こんな会話を例に考えてみよう。

A:「風邪だと思うんだけど、体調悪くてしばらく休んでいたんだ」

B:「あ、それは大変だったね。熱、出た?」

A:「熱は出た」

B:「高熱? 節々が痛くなったりした?」

A:「いや、節々が痛くなるなんてことはなかったけど」

B:「頭痛はあったでしょう?」

A:「頭もさほど……(なんかこう決めつけるなあ)」

B:「じゃ、鼻水だ、あと、喉とか」

A:「鼻水もそんなになかったかな」

B:「インフルエンザの検査した? しておいたほうがいいよ」

A:「(うーん)そういう類ではなさそうだったから、病院にはいかなかったんだ」

B:「病院、行かなきゃ」

A:「でも、もう治ったし……」

B:「次は病院に行くんだよー」

A:「う、うん……(説教された……苦笑)」

 Aさんが「体調不良で休んでいた」と言っただけで、Bさんは、自分の知識や経験を総動員し始める。例えば、「冬のこの時期は、風邪もインフルエンザも流行るからなあ」「この間自分が風邪を引いた時は、高熱が出て節々も痛かったもんなぁ」「風邪といえば、もしかするとインフルエンザの可能性のあったのかな」「喉や鼻水という症状が出る場合も多いよね」などとぐるぐると考え始めてしまう。

 だから、「風邪だと思うんだけど」と言われただけで、上記のように頭に思い浮かんだ様々な質問を相手にぶつけてしまう。そんな時の質問は、クローズなものになりやすい。クローズな質問とは、「はい/いいえ」で答えられるようなタイプのものを指し、意図せず会話の方向性をコントロールしてしまうことが多い。

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