ページ

トヨタ完勝、スズキ完敗で決着 軽自動車増税のインパクト

2013年12月26日木曜日

 ついに、スズキの"牙城"が陥落した。12月12日、2014年度税制改正大綱がまとまり、ユーザーが年当たりに支払う軽自動車税が現在の7200円から1万0800円へ引き上げられたのだ。国内販売台数のうち軽自動車比率が9割を占めるスズキにとっては大打撃だ。

 税制議論が始まった当初より、スズキは孤立していた。先に、消費税率10%となる15年10月時点で、自動車取得税が廃止されることが決まっており、財務省と総務省はその代替財源(13年度は1900億円)を探していた。

 業界団体の日本自動車工業会は、「自動車取得税の廃止は、消費増税の影響を抑制するために撤廃されることが決まったはず。その財源を補填する議論はおかしい」と、表面的には、自動車業界がまるで一枚岩であるかのように反発した。

 だが、内実は違っていた。登録車・軽自動車比率や燃費基準の達成度などが異なる自動車メーカー各社は、自社に有利な税制となるように永田町・霞が関へロビー活動を行った。(軽自動車の規格を超える)登録車への増税を回避したいトヨタ自動車や日産自動車のみならず、目下のところ、軽自動車の販売が好調なホンダすら、軽自動車増税に異を唱えることをしなかった。ことにトヨタは、小型車メーカーに有利な「自動車取得税の基礎控除案」を回避したり、環境性能の高い車に有利な税制パッケージへ着地するよう折衝したりして、「むしろ軽自動車増税を誘導していた」(ある官庁幹部)。

 13年1~11月の国内市場に占める軽自動車比率は4割に迫る。鈴木修・スズキ会長兼社長はユーザーの支持を味方につける構えだったはずだ。だが、スズキはトヨタが親会社であるダイハツ工業と共闘することもできず、完敗した。

リッターカー戦線が熾烈化

 軽自動車増税は、国内の市場構造をガラリと塗り替えるほどのインパクトがある。

 短期的には、軽自動車税との税差が縮まった「排気量1リットル前後の小型乗用車(登録車)」カテゴリーへの商品投入が相次ぐことになるだろう。近年、軽自動車とハイブリッド車(HEV)が国内市場を牽引してきたこともあり、自動車メーカーの販売施策がおろそかになりがちだったカテゴリーでもある。例えば、トヨタ「ヴィッツ」、同「パッソ」、日産「マーチ」といったリッターカー戦線が熾烈になりそうだ。

「このクラスへの、(減速時の回生エネルギーを再利用して駆動補助をする)簡易ハイブリッドシステムの搭載が主流になるかどうか注視していきたい」(自動車メーカー幹部)との声がすでに聞こえている。

0 件のコメント:

コメントを投稿

 

人気の投稿