国土交通省は20日、来年4月からの新しい高速道路料金の基本方針を正式決定した。これまで10分類されていた基本料金(1キロあたりの料金)を、自動料金収受システム(ETC)利用者を対象に3分類に簡素化。割高だった海峡部などの料金は大きく引き下げられる。本州四国連絡高速道路会社が抱える債務は、収益性が高い本州の高速料金収入で肩代わりすることも決定。都心部の利用者が採算性の悪い地方路線の負担を抱え込む構図が強まっている。
全国の高速道路は、路線ごとの建設コストに応じて、料金体系が異なっている。海にかかる橋などの「海峡区間」は現在、1キロあたり108.1〜404.35円の料金の幅があるが、新方針では最も低い同108.1円に統一する。東京・大阪などの「大都市区間」は現行の同29.52円を維持。両区間以外の「普通区間」は、現行で同24.6〜64円の料金の幅があるが、こちらも同24・6円と最も低い水準に統一する。太田昭宏国交相は会見で「利用者にわかりやすい料金設定にした」と説明したが、地方路線を優遇する結果に、都心のドライバーなどから不満の声が上がりそうだ。
ETC割引では、地方の平日昼間と都市部の休日昼間に実施してきた3割引きを廃止。深夜の5割引きを3割引きに見直すことになっているが、地方の休日割引は補正予算で計上した620億円を原資に6月末まで継続するなど、地方に手厚い内容となっている。
道路公団の民営化以降、基本料金の分類を整理するのは初めて。高速道路を建設するための借金の返済には、高速道路の利用者が支払う料金収入を元手にする「受益者負担」が原則だ。今回、収益力が低い本四高速は他の地域の利用者が肩代わりするなど、受益者負担の原則にもほころびが生じ始めている。太田国交相は、都心部と地方の料金格差について「(東京外環道などの)環状道路が整備されれば(利便性が高まるため、現在料金が割高でも)整合性はとれる」と述べた。【永井大介】
◇キーワード【高速道路の料金割引】
高速道路の料金割引が始まったのは2004年。自動料金収受システム(ETC)の電子情報の活用で、現金精算では技術的に困難だった柔軟な割引サービスが可能になった。割引対象は現在もETC搭載の車両のみ。08年10月にはリーマン・ショック後の緊急経済対策で国が3兆円を投入し、割引対象を拡大。09年3月からは生活対策として「休日上限1000円」も導入した。…
全国の高速道路は、路線ごとの建設コストに応じて、料金体系が異なっている。海にかかる橋などの「海峡区間」は現在、1キロあたり108.1〜404.35円の料金の幅があるが、新方針では最も低い同108.1円に統一する。東京・大阪などの「大都市区間」は現行の同29.52円を維持。両区間以外の「普通区間」は、現行で同24.6〜64円の料金の幅があるが、こちらも同24・6円と最も低い水準に統一する。太田昭宏国交相は会見で「利用者にわかりやすい料金設定にした」と説明したが、地方路線を優遇する結果に、都心のドライバーなどから不満の声が上がりそうだ。
ETC割引では、地方の平日昼間と都市部の休日昼間に実施してきた3割引きを廃止。深夜の5割引きを3割引きに見直すことになっているが、地方の休日割引は補正予算で計上した620億円を原資に6月末まで継続するなど、地方に手厚い内容となっている。
道路公団の民営化以降、基本料金の分類を整理するのは初めて。高速道路を建設するための借金の返済には、高速道路の利用者が支払う料金収入を元手にする「受益者負担」が原則だ。今回、収益力が低い本四高速は他の地域の利用者が肩代わりするなど、受益者負担の原則にもほころびが生じ始めている。太田国交相は、都心部と地方の料金格差について「(東京外環道などの)環状道路が整備されれば(利便性が高まるため、現在料金が割高でも)整合性はとれる」と述べた。【永井大介】
◇キーワード【高速道路の料金割引】
高速道路の料金割引が始まったのは2004年。自動料金収受システム(ETC)の電子情報の活用で、現金精算では技術的に困難だった柔軟な割引サービスが可能になった。割引対象は現在もETC搭載の車両のみ。08年10月にはリーマン・ショック後の緊急経済対策で国が3兆円を投入し、割引対象を拡大。09年3月からは生活対策として「休日上限1000円」も導入した。…
0 件のコメント:
コメントを投稿