東京電力は17日、経営再建の柱と位置づける火力発電と燃料調達部門の包括提携について、中部電力を優先交渉先とする方針を固めた。火力発電の運営や液化天然ガス(LNG)の調達に強みを持つ中部電との提携が、2016年の電力自由化後の成長戦略を描く上で最適と判断した。東電と中部電は月内にも交渉開始の合意書を交わし、燃料調達から発電までを一体的に手掛ける共同事業会社の年度内設立を目指す。電力大手の営業地域の垣根を越えた提携は、エネルギー業界再編の呼び水になる可能性もある。
両社のLNG調達量は年4000万トン弱と世界トップレベルになり、産出国などとの価格交渉力が高まるとみられる。また、東電が計画中の東京湾岸の老朽火力発電計1000万キロワットの建て替えについても、大半を新会社で実施することを目指す。
東電は、今年1月に政府の認可を受けた再建計画(新総合特別事業計画)で、火力発電の包括提携を盛り込み、6月から中部電、東京ガス、大阪ガス、関西電力、JXホールディングスの5社と交渉を進めてきた。東電は交渉先に対し、千葉県内の3カ所の老朽火力発電所の建て替えやLNGの共同調達などを打診していた。
東電と中部電は、新会社への出資比率を50%ずつとする方向で最終調整している。東電が福島第1原発事故の賠償問題を抱えているため、中部電は新会社の利益が賠償資金として出資比率以上に吸い上げられることを懸念。さらに、東電の株式の過半数を握る国が新会社の経営に介入することを不安視している。このため、新会社は福島原発事故の賠償責任を負わないことなどを最終契約に盛り込む方向だ。
東電は包括提携で、将来的な火力発電部門の事業統合を視野に入れ、中部電に対し、既存の火力発電設備やLNG調達契約を、新会社に移すよう求めている。今後の交渉では、両社の資産をどの程度、新会社に切り出すかが焦点となる。
中部電は大阪ガスと共同で米国産シェールガスの輸入を手掛けており、大ガスも首都圏の火力発電事業の参入に前向きのため、東電、中部電、大ガスの3社による提携に発展する可能性もある。【安藤大介、森有正】
両社のLNG調達量は年4000万トン弱と世界トップレベルになり、産出国などとの価格交渉力が高まるとみられる。また、東電が計画中の東京湾岸の老朽火力発電計1000万キロワットの建て替えについても、大半を新会社で実施することを目指す。
東電は、今年1月に政府の認可を受けた再建計画(新総合特別事業計画)で、火力発電の包括提携を盛り込み、6月から中部電、東京ガス、大阪ガス、関西電力、JXホールディングスの5社と交渉を進めてきた。東電は交渉先に対し、千葉県内の3カ所の老朽火力発電所の建て替えやLNGの共同調達などを打診していた。
東電と中部電は、新会社への出資比率を50%ずつとする方向で最終調整している。東電が福島第1原発事故の賠償問題を抱えているため、中部電は新会社の利益が賠償資金として出資比率以上に吸い上げられることを懸念。さらに、東電の株式の過半数を握る国が新会社の経営に介入することを不安視している。このため、新会社は福島原発事故の賠償責任を負わないことなどを最終契約に盛り込む方向だ。
東電は包括提携で、将来的な火力発電部門の事業統合を視野に入れ、中部電に対し、既存の火力発電設備やLNG調達契約を、新会社に移すよう求めている。今後の交渉では、両社の資産をどの程度、新会社に切り出すかが焦点となる。
中部電は大阪ガスと共同で米国産シェールガスの輸入を手掛けており、大ガスも首都圏の火力発電事業の参入に前向きのため、東電、中部電、大ガスの3社による提携に発展する可能性もある。【安藤大介、森有正】
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