〝讃岐うどん専門〟をキャッチフレーズに今や、全国区の知名度を誇るまでに成長したのがトリドールの展開する「丸亀製麺」だ。
同社の最大の強みは一番の来店動機につながる〝手作り出来立て〟にこだわっている点にある。セントラルキッチンを用いず各店舗で粉から製麺するという製造法は、景気低迷を背景に簡便化に特化しがちだった外食チェーンに一石を投じることとなり、外食の現状に不満を持っていた多くの顧客の取り込みに成功する。一方で、揚げ物等、顧客自らが好みで選べるトッピング商材が充実していることも購買意欲の喚起に一役買っている。
「弊社は〝お客さまに喜んでいただきたい〟という思いを常に具現化してきた会社です。お客さまを捌くとか合理化を優先するのではなく、どうすれば、お客さまに来ていただけるかだけを考え続け形にしてきました。そういう意味では、手間暇かかることへのアレルギーはわれわれにはありません」とキッパリと述べるのは同社の粟田貴也社長。2000年の開業以来、「丸亀製麺」を短期間で急成長させた要因の一端を垣間見ることができる。
セルフうどんチェーンとして台頭著しい同社だが、トリドールという社名からも分かるとおり、そもそもは「焼き鳥業態」を生業としてきた過去がある。
粟田氏が、同社の前身であるトリドールコーポレーションを設立したのは1985年。焼き鳥居酒屋「とりどーる3番館」を兵庫県加古川に開業したのが同社のルーツだ。
当時は焼き鳥業態も絶好調。粟田氏はこの業態を拡大していくことで上場を目論んでいたという。しかし、そこは起業家。その一方で、次代の成長エンジンとなる新業態の開発も常に念頭に置いていた。
そんな粟田氏の脳裏を横切ったのが〝うどん〟。「なぜ香川のうどんだけが全国区の人気を誇っているのだろうか。そこに自分たちが参入すれば勝機があるのではないだろうか」という仮説を検証したいという思いに駆られ新業態に打って出た。
主力商材は280円の自家製麺にこだわったうどんだが、ここに出来立てのトッピング商材を組み合わせることで、顧客満足度の向上と客単価の引き上げを同時に実現した。
「うどんの単品単価を上げてしまうとお客さまのバリエーションの幅を狭めてしまうこととなり、同時に楽しみさえも奪ってしまうことになります」(粟田氏)
焼き鳥業態からスタートした同社ではあるが、今や「丸亀製麺」が売り上げの9割を叩きだす。…
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