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『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました。』は“素敵なユニクロ暴露本”だ

2014年9月17日水曜日

先日、『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました。』という本を読み終わった。著者はボクと同い年の1976年生まれ。就職氷河期を乗り越えて就職……という流れは共通しているがそこだけだ。

著者は一橋大学卒業と、ボクの学歴では彼の足元にも及ばない。そんな著者が新卒で入った会社は、フリースブームが到来する前のファーストリテイリング。わずか7ヵ月で耐えきれず辞めてしまったため、会社に対しての愛着は全くなく、基本、うらみつらみが多い。

ただ、わずかの間、勤務していた町田店(154番目に出来たお店ということらしい)での日々は、著者にとっては素晴らしいものだったらしく、仕事は忙しかったが、人間関係も良く、辞めることが決まった後でも、なんの用もないのに事務所に顔を出したりしていたらしい。それほど居心地の良いところだったようだ。

本の内容は、そんな著者が、当時の町田店で一緒に働いていた元・従業員を訪ね歩き、インタビューを行い、ユニクロでの働き方や、過酷な労働環境について書かれた、良い意味での「ユニクロ暴露本」だ。

著者自身、ユニクロでの過酷な労働に耐えられず辞めてしまったので、基本的にユニクロの体制については辛らつだ。

以下抜粋すると、

「売れることだけがユニクロにおける唯一の正解」
「きれいごとを言っているが店全体から感じるコンセプトは、『売れるものをたくさん売りたい、儲けたい』だ」
「キャリアに応じない人事」
「基本的に上層部からの一方的なトップダウン」

著者はそんな感じなのだが、インタビューを受ける元従業員からは、著者のような辛らつな意見はあまり聞こえてこない。

「楽しかった!」
「大企業の看板を使って月商数千万円にもなる店舗を、自分たちで運営する経験なんて、普通はできないでしょ?」
「良い経験だった」

と、著者ほどユニクロに対して、悪い印象を抱いている人は少ない。

著者の持論は、「ユニクロ=労働状況が劣悪なひどい会社」なんだろうが、そうした自分の意見をごり押ししたりせず、元同僚からユニクロの良い面、悪い面を聞きだし、客観的な文章にしているところに好感が持てる。良い意味での暴露本と書いたのはそこが要因だ。

「あそこの会社はこんなにひどい会社なんだぜ~」と耐え切れず辞めた人間が糾弾することほど、かっこ悪いことはない。ボクの本のタイトルではないが、それこそ「負け犬」の遠吠えだ。

著者も、人によっては色々と学べる環境だということが、分かっているのではないか。

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