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<中国>8月工業生産6.9%増 5年8カ月ぶり低水準

2014年9月14日日曜日

 【北京・井出晋平】中国国家統計局が13日発表した8月の工業生産は、前年同月比6.9%増とリーマン・ショック後の2008年12月(5.7%増)以来、5年8カ月ぶりの低い水準となった。不動産市況の低迷が続いていることなどが原因。消費も伸び悩んでおり、不動産の販売不調が生産や消費の足を引っ張る構図が鮮明となっている。

 工業生産は、7月(9%増)から大幅に落ち込んだ。内訳をみると、建設資材となる粗鋼やセメント、板ガラスなどの生産の伸びが鈍った。企業活動の活発さを反映するとされる発電量は2.2%減とマイナスに転じており、生産全体が低迷していることも浮き彫りとなった。

 不動産市況は持ち直しの兆しが見えておらず、この日発表された1〜8月の不動産開発投資は前年同期比13.2%増と1〜7月から0.5ポイント悪化。新築住宅の販売面積は10%減、販売額は10.9%減と2桁減が続いており、不振ぶりが際立っている。幅広い投資動向を示す固定資産投資も1〜8月は16.5%増と1〜7月から0.5ポイント悪化。インフラ建設を加速する政府の景気下支え策で鉄道と道路建設は20%台の高い伸びを示したが、投資全体の減速を補うほどではなかった。

 消費動向を示す社会消費品小売総額も、前年同月比11.9%増と3カ月連続で鈍化した。特に、不動産販売低迷の影響で家電、家具、自動車の販売が鈍化した。高級飲食店の売り上げも減少しており、共産党・政府の「ぜいたく禁止令」や汚職摘発キャンペーンのあおりを受けたとみられる。

 李克強首相は今月10日の演説で、「強い刺激を与えるのではなく、改革を強力に推し進めて経済の安定運営を維持する」と、大規模な景気対策は行わず、構造改革を優先する姿勢を強調。今年1〜6月期の国内総生産(GDP)の成長率は、物価変動の影響を除いた実質で前年同期比7.4%と今年の政府目標(7.5%)を下回っているが、「少し上回るのも下回るのも合理的な範囲内だ」として、目標達成にこだわらない姿勢も示した。しかし、欧州経済の低迷を受けて欧州向け輸出が伸び悩むなど先行き不透明感は増しており、追加の景気対策を求める声が高まる可能性もある。

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