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阪急阪神ホテルズ 食材偽装が発生するカラクリを専門家解説

2013年10月29日火曜日

 阪急阪神ホテルズ系列のレストランで恒常的に行われていた47商品に及ぶ「食材偽装」問題。同社の出崎弘社長(11月1日付での辞任を表明)が「偽装ではなく誤表記だ」と言い張ったことで、火に油を注ぐ結果を招いてしまった。

 東京都内で割烹料理店を営む店主は、「阪急阪神は氷山の一角。他のホテルグループでも食材偽装は芋づる式に出てくるだろう」と話す。

「食品表示を規定したJAS法の規定が曖昧なのをいいことに、冷凍魚=鮮魚、手ごねハンバーグ=既製品などというごまかしは多くの飲食店でやっていること。そうした罪悪感のなさが積み重なって、産地偽装にもつながっている。あの高級ホテルの阪急が九条ねぎや信州そばの産地を偽っていたくらいだから、もっとグレードの低いビジネスホテルは推して知るべしでしょうね」

 だが、そもそもホテル業態を取り巻くグレードが急激に変化しつつあると指摘するのは、ホテルライフ評論家の瀧澤信秋氏である。

「これまで<シティホテル=高級的なホテル><ビジネスホテル=一般的なホテル>と捉えられていた業態が、2000年あたりから<ラグジュアリーホテル=外資系を中心とした超高級ホテル>や宿泊特化型の機能的で清潔感のあるホテルチェーンが人気を博してきたことで、旧来型のシティホテルやビジネスホテルは苦戦を強いられてきました。阪急ホテルや阪神ホテルがまさにそうです」(瀧澤氏)

 つまり、それまで最高峰だったシティホテルの利用者はよりラグジュアリーなホテルへ、中級クラスのビジネスホテルの利用者は使い勝手のいい宿泊特化型ホテルへと、顧客を奪われていったというのだ。

「宿泊予約サイトで高級ホテル区分されている『大阪新阪急ホテル』のビジネスユース料金は、同地区の宿泊特化型ホテルチェーンの実勢価格を下回っているケースもある」(業界関係者)

 との声も聞かれるほど、阪急ホテルの高級ブランドはすでに瓦解していたと見る向きがある。大幅にディスカウントした宿泊料金のしわ寄せが料飲部門にいっていたとしたら……。今回の偽装は起こるべくして起きたといえなくもない。

「以前、私が取材した大手ホテルチェーンも、経費削減や人件費の抑制が料飲部門にまで及んでいました。最前線の料理人はプライドが高いから食材にもこだわりたいのですが、経営会社の上層部から現場の支配人や責任者に『この予算で工夫しろ!』とトップダウンの指示が飛ぶ。

 間に挟まれた現場の人たちの苦労は大変なものです。

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