1月8日、日立は社長交代の緊急記者会見を開いた。その中で、4月1日付で、東原敏昭専務が社長兼COOへ昇格し、中西社長は会長兼CEOとなる人事を発表。川村隆会長は3月末で相談役へ退く予定だ。
この日、社長交代と同じくらい注目を集めたのが、この川村会長の今後の身の振り方だった。特に日本経済団体連合会をはじめとした財界活動についてだ。
というのも、現経団連会長の米倉弘昌氏の任期が6月で切れるため、その後任が誰になるかが焦点となっていた。そして、米倉氏はかねて「製造業の経営者の中から選ぶ」と公言しており、他の候補者たちが次々と姿を消していく中、川村会長が現時点での最有力候補と目されていたからだ。
ところが、川村会長は記者会見の場で、「経団連の活動は、副会長職の任期が終わる今度の総会をもって終わりとしたい」と語り、これまで流れていた観測に自ら終止符を打った。
経団連人事の玉突きか「こういう話は、後から遅い早いといくらでも言える話。トップ交代もスピードが足りないということにならないように」と、中西社長は語ったものの、多少の唐突感は否めない社長交代のタイミングだった。
日立は今期、過去最高益の達成が視野に入る。2008年度に製造業史上、過去最悪の7873億円という赤字を受け、復活の下地をつくった川村会長の後を引き継いだ中西社長は、その後V字回復を成し遂げた。今や「日立は電機の勝ち組」という評価を確かなものにしつつある。同時に自身の経営者としての評価も高めた。
一方で、その中西社長に匹敵する後任候補がいるのかという後継者リスクも日立については語られてきた。その中での交代劇だったのだ。そうしたこともあり、1月中ともいわれてきた経団連会長人事の発表を前に、玉突きでこの時期の社長交代発表になったのではないかという見方が出たのだ。
実際に時を同じくして、経団連の次期会長に東レの榊原定征会長を起用する案が表面化。米倉氏の後任となる見通しだ。
ただ、同じ会見の席で、川村会長は「日立にとって財界活動は非常に大事」と語った上で、「その大部分は(中西)新会長にやってもらう」と、発言している。そこで早くも、中西社長にさらにその次の経団連会長の芽が出てきたという、新たな筋読みまで浮上した。…
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