メニューの偽装発覚は、阪急阪神ホテルズを皮切りに、有名ホテルや百貨店に広がり、連日のように謝罪会見が開かれた。一連の騒動で発覚した偽装表示は数十種類に上った。このうち消費者庁は、バナメイエビを「芝エビ」、一般的なネギを「九条ねぎ」、スパークリングワインを「シャンパン」、通常の野菜を「有機野菜」、サメやタラの卵を「からすみ」などと表示して提供したことについて、著しく良いものだと誤解を与える優良誤認に当たると認定した。
これほどまでに食材偽装が広がった背景には、ホテルや百貨店内部における強いコスト削減圧力があったためといわれている。阪急阪神ホテルズの偽装が始まったのは、リーマン・ショックがあった2008年頃であり、まさにホテル業界が急激に厳しい環境下に突入した時期と重なる。
●ホテル業界の苦悩ホテル業界の売り上げは、06年まで増加傾向にあった。07年は横ばいだったが、リーマン・ショックを境に08年から東日本大震災が起こった11年まで減少が続いた。しかし、12年に入り東京地区のホテル稼働率は回復。さらに12年末からの円安が寄与し、外国人観光客が増加して上向きに転じた。昨年には国内の景気回復や富士山が世界遺産に登録されるなど追い風が吹き、ホテル業界はようやく息を吹き返した。
この間にホテル業界の競争は激化した。外資系ホテルの新規参入が相次いだためだ。03年以来、フォーシーズンズ(カナダ)、グランドハイアット(米)、コンラッド(ベルギー)、マンダリン・オリエンタル(香港)、ザ・リッツ・カールトン(米)、ザ・ペニンシュラ(香港)、シャングリ・ラ(香港)、セントレジス(米)など高級ホテルが次々と開業した。
外資系高級ホテルの進出がピークを迎えた07年には、東京のホテル業界は「2007年問題」といわれ、その直後にリーマン・ショックが重なり、氷河期に突入した。…
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