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東大ベンチャーがグーグルの手に 突きつけられた日本の成長課題

2014年1月17日金曜日

 身長約1.5メートル、ブロックの散乱したでこぼこ道を悠々と歩き、手すりのない2メートルを超えるはしごも自在に登っていく。

 東京大学発のベンチャー企業が開発した二足歩行のロボット――。「蹴っても倒れない」という技術は、開発者の浦田順一氏にちなみ「ウラタ・レッグ」と世界の研究者に称賛されているほどだ。

 この企業の名は「SCHAFT(シャフト)」。実は、2013年末に開かれた、米国防総省国防高等研究計画局(DARPA)主催の災害救助ロボットコンテストで、米航空宇宙局(NASA)など強豪15チームを抑えてトップに輝いた、知る人ぞ知る世界的な注目企業なのである。

 11年末から、東大助教であった中西雄飛氏と浦田氏がヒト型ロボットの商業化に向け、ベンチャーの設立を検討。12年4月にDARPAのコンテスト開催が発表されたことを受け、まずはそのロボット開発に向けて、12年5月にシャフトを設立したのだ。

 そのシャフトがいきなりコンテストに優勝したことで日本の技術力の高さを見せつけた反面、大きな課題も浮き彫りになった。実は、米検索大手グーグルがすでにシャフトを買収していたのだ。

 ロボットの開発には、試作機でも数千万円単位の費用がかかることもあり、シャフトにとって資金調達が悩みの種となっていた。技術では絶対的な自信があり、日本のベンチャーキャピタル(VC)や国の関係機関などに投資や融資を説いて歩いたものの、徒労に終わっていたのだ。

 資金調達を担当した共同創業者の加藤崇氏は、「『おもしろい技術だね』とは言ってくれるが、市場が立ち上がっておらず、引き受けては見つからなかった」と振り返る。

 結局、当時、加藤氏自身が関わっていた投資ファンドから大部分の資金を調達。ACCESS共同創業者の鎌田富久氏の出資を受けて、ようやく試作機の完成にこぎつけた。

 その後も、DARPAの開発資金を得て開発を進めながら、商業化に向けて資金調達の交渉を続けていた。

 そんな中、たどり着いた先がグーグルのVCであった。ロボットの事業化を目指す、グーグル本体につながり、あっと言う間に買収へとつながっていったのだ。

 グーグルに決めたのも「軍事転用しないことに加え、ハイテクにかける思いが強い。何よりも市場をつくれる力がある」(加藤氏)ということだった。

 かくして、日本で相手にされなかった、最先端のロボットベンチャーをグーグルが手中に収めた。

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