その直後、「人事に関する面談」と称して40代後半~50代の特定の社員を呼び出し、執拗に退職を迫った。拒絶する社員を「子会社の物流会社の倉庫や本社工場に配転、出向させる」と脅し、計4度にわたる退職強要を断った社員は、実際に倉庫や工場の現場に飛ばされた。
こうして"島流し"の憂き目に遭った社員のうち、A氏とB氏(ともに男性、仮名)が、物流会社リコーロジスティクスへの出向の無効や、出向による身体的、精神的苦痛に対する慰謝料として各220万円をリコーに求め、12年6月8日、東京地裁に提訴した。
その後、審議を経て昨年11月12日、ついに一審判決の日を迎えた。判決開始の10分前に法廷に入ったところ、傍聴席全16席のうち半分は報道席となっていた。法廷内の報道席は記者クラブ限定の席である。すでに記者クラブメディアは4、5人来ており、テレビカメラも1台入っていた。その後、裁判長席に向かって右手の被告リコー側の席に、30代の男性弁護士が3人着席した。左手の原告側には、男女各3人の弁護士が座った。
●原告勝訴、出向は無効午後1時10分となり、東京民事11部の篠原絵理裁判長が入廷した。その後、2分間のテレビカメラの撮影時間を経て、篠原裁判長が判決主文を読み上げた。
「原告らが訴外リコーロジスティクス株式会社に出向して、同社において勤務する労働契約上の義務が存在しないことを確認する。原告らのその余の請求をいずれも棄却する」
慰謝料こそ認められなかったものの、出向無効を言い渡す、原告の全面勝訴判決だ。
判決文には、こう書いてある。
「リコーロジスティクスにおける作業は立ち仕事や単純作業が中心であり、原告ら出向者には個人の机もパソコンも支給されていない。(略)それまで一貫してデスクワークに従事してきた原告らのキャリアや年齢に配慮した異動とはいい難く、原告らにとって、身体的にも精神的にも負担が大きい業務であることが推察される。
(略)原告らと同様に余剰人員として人選され、本件希望退職への応募を断った者(原告らを含め152人)は、全員が出向対象とされ、リコーロジスティクスを含む生産又は物流の現場への出向を命じられたこと等の事実に鑑みれば、本件出向命令は、退職勧奨を断った原告らが翻意し、自主退職に踏み切ることを期待して行われたものであって、事業内製化はいわば結果にすぎないとみるのが相当である。…
0 件のコメント:
コメントを投稿