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「老後の備えは300万の定期預金で十分」のワケ

2014年1月27日月曜日

私は、資本主義の限界が迫っていると考えています。その原因は実体経済とマネー経済の乖離にあります。
世界の金融資産の規模は、1980年には12兆ドルと世界のGDP合計額とほぼ同じでした。ところが「リーマンショック」の前年の2007年には、世界のGDP合計額の約3.8倍の180兆ドルにまで膨らんでいました。
リーマンショックを経て、実体経済とマネー経済の差はいったん縮小に向かいましたが、ここにきて、再び乖離が広がりつつあります。米国はこれまで3度にわたり大規模な量的金融緩和(QE1、QE2、QE3)を行っています。欧州も11年12月と12年2月の2回に分けて合計で108兆円の実質的な金融緩和を行いました。11年下期からは、新興国でも金融緩和の動きが広がり、市場には過剰資金が溢れています。こうした動きは、リーマンショックに匹敵するほどの大激震の前触れだと考えられます。
正確な未来予測は困難ですが、これまでのような経済成長を前提にした投資行動は、もう合理的ではありません。長期投資や国際分散投資ならば、必ずリターンが得られる、という主張を信じるべきではないでしょう。
それではどうすればいいか。私はセミナーなどで「お金に縛られるのをやめましょう」と話しています。
どんなにお金があっても、安心は買えません。500万円の世帯年収のある人は、たとえ600万円でも1000万円でも、将来が不安なはずです。なぜなら人間の欲望は、どこまでいっても尽きることがないからです。
だから具体的に考えないかぎり、老後資金はいくらあっても足りません。「老後のために1億円貯めたい」という相談を持ちかけられることもありますが、私は「なぜ1億円が必要なのですか」と問い返します。
「老後は悠々自適に過ごしたい」という人も少なくありません。しかしこの考えはきわめて曖昧です。具体的なプランがなければ、暇を持てあますだけで、ちっとも幸せではないはずです。
リタイア後の生活を具体的に描き、そのためにいくら必要なのかを考えなくてはいけません。もし具体的なイメージを持つことが難しいのであれば、私は「生涯現役」を前提にするのがいいと思います。
公的年金制度は、このままでは必ず破綻します。年金支給開始年齢は段階的に引き上げられ、定年年齢の延長もあわせて行われるはずです。「高年齢者雇用安定法」の改正で、13年4月からは定年年齢が原則として65歳となりましたが、これは年金支給開始年齢の引き上げと軌を一にしています。

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