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紛糾する東証の夜間取引 実現しても不便な市場に

2014年6月4日水曜日

「このままだと、賛成・反対の両論併記の報告書が出てくるかもしれませんねえ」──。東京証券取引所のある関係者はこうつぶやく。

 東証を傘下に持つ日本取引所グループ(JPX)の斉藤惇CEOは、現在は午前9時から午後3時まで、1時間の昼休みを挟んで計5時間と、英ロンドンの8.5時間、シンガポールの8時間と比べて圧倒的に短い取引時間の拡大に強い意欲を示している。

 ところが、有識者や証券業界関係者を集めて2月にスタートし、延長の是非や在り方を東証に提言する「現物市場の取引時間拡大に向けた研究会」での議論が、まとまる気配がないのだ。

 研究会で東証側は当初、勤務先から帰宅後のサラリーマンの取引ニーズを取り込んだり、日本時間では深夜から早朝に当たる欧米市場の動向を株価に反映させるとして、午後9時から11時に、通常の市場と違って証券会社が参加の可否を判断できる新たな市場を設けるという試案を提示した。

 しかし、機関投資家の十分な参加が見込めないため市場の流動性が枯渇し、株価が急変するなど価格形成に問題が起きるとの懸念が指摘された。

 そこで東証は4月、午後3時半から5時までの夕方に新たに市場を設ける案を提示。だがこれでは、当初の狙いであった会社帰りのサラリーマンの投資機会は生み出せない。考えられるあらゆる条件を満たす妙案が見当たらないのだ。

 さらに研究会では、そもそも取引時間を拡大するかどうかについて意見がぶつかり合っている。「24時間取引可能にすべきだ」との主張がある一方で、東証では寄り付き直後と引け前に取引が集中する特徴があることから、「取引時間を短くした方が流動性が高まる」との声さえ上がっている。

 議論は研究会の「外野」でも活発で、大和証券グループ本社の日比野隆司社長は5月14日、「取引時間拡大のニーズは極めて限定的。夜間でもイブニング(夕方)でも、結論としては反対」と明言した。これは、最大手の野村ホールディングスも共通した認識だ。

面従腹背の部下

 一方でネット証券の意見は分かれる。松井証券が推進派の最右翼だが、ネット最大手のSBI証券はニーズはないとの見方を示す。

 とはいえ、東証の5時間は海外と比べるとあまりに短い。斉藤CEOを突き動かしてきたのは、世界的な取引所間競争の激化に対する強い危機感だ。

 だが、斉藤CEOの手足となるべき東証のスタッフは必ずしも、延長に前向きではないという。東証は2000年にも夜間取引実施を検討したが、ニーズが見込めないと見送っているため、東証スタッフの間では「何をいまさら」といった空気が漂う。

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