100万円に設定されている現在の非課税枠を3倍の300万円とする案を軸に調整する。政府関係者が明らかにした。消費増税による悪影響が懸念される株価の引き上げを狙う。
NISAとは、年間100万円までの投資について、株式や投資信託などから得られる配当や譲渡益が最長5年間にわたって、非課税になる制度だ。
昨年、世界最大の株価上昇を演出したアベノミクスだが、年明け以降は息切れが目立つ。個人がNISAを活用することで、「貯蓄から投資へ」の流れを加速させ、株式市場の底上げにもつなげる。
実際、昨年の株高を牽引してきた外国人投資家が今年1月から3月にかけて、1兆8000億円と大幅な売り越しに転じたが、その間、国内の個人投資家は逆に1兆5000億円以上を買い越した。特に、NISA口座を通じた個人マネーによる株や投信の購入額は、5000億円に上り、日本の株式市場を下支えした格好だ。
非課税枠が3倍に拡大されれば、さらなる個人マネーの流入が見込まれ、株価対策として高い効果が期待される。
そもそも、アベノミクスの要諦は株高にある。
政府がその株価対策の切り札としているのが、日本銀行による追加の金融緩和だが、虎の子である追加緩和のカードは簡単に切るわけにはいかず、それ以外の対策が重要視されている。その一つが、NISA改革というわけだ。
政府はさらに約130兆円もの資金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の改革も並行して進めている。
16日に麻生太郎財務相が「6月以降に動きが出る」と指摘した通り、改革に消極的な理事長ら幹部の大幅な刷新を前提とした運用の見直しが行われるとみられる。
業界には恒久化を望む声株価の鍵を握るNISA改革だが、業界からは非課税枠の問題の他にも、改善を求める声が少なくない。例えば、投資対象に債券が含まれていなかったり、損益通算ができなかったりと、使い勝手の悪さの改善要望だ。
NISAの改善については、金融庁が目下、金融業界からの要望を取りまとめており、8月には財務省に税制改正の要望として提出する。
その過程で、「政府・官邸から非課税枠の拡大を求める要望が出てくれば、当然従わざるを得ない」(金融庁関係者)。
一方で、証券会社の間では、非課税枠の拡大よりもむしろ、10年間の時限立法では効果が限定的として、NISAの恒久化を望む意見のほうが根強い。…
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