だが、機関投資家の反応は厳しいものだった。西武は売り出し価格の仮条件の決定を4月7日から9日へと延期。売り出し価格を1600~1800円へと大幅に下げた。証券会社関係者は、「つまり、需要が集まらなかったということ」と解説する。
当初の想定より、売り出し価格が大幅に下がったことを受けて、西武株を35%保有する筆頭株主の米サーベラス・グループが、上場時に15.5%分を放出する予定を取り下げた。
ここで、過去の経緯を簡単に振り返ると、西武グループは2004年に有価証券報告書の虚偽記載で上場廃止となり、06年にサーベラスが経営再建のスポンサーとして1000億円を出資した。長年、友好関係を保っていた両者だが、12年に西武の上場計画が動き出すと、再上場時の株価をめぐって対立し、関係はこじれにこじれた。13年に、サーベラスによる西武株のTOB(株式公開買い付け)に発展したのは記憶に新しいところである。今回、ようやく再上場にこぎつけたが、サーベラスは4月23日の上場時の株式売り出しを断念、出口戦略が再び迷走し始めた。
高過ぎた想定価格西武が当初想定していた2300円という売り出し価格について、ある機関投資家は、「あり得ない高値」と驚きを隠さない。
というのも、ちょうど1年前にサーベラスが仕掛けたTOBの価格は1400円。「企業価値は、何も変わらないのに、なぜ一気に2300円に釣り上がるんだ」と憤る。2300円の株価から算出される14年度の予想PER(株価収益率)は28.8倍。東京急行電鉄や阪急阪神ホールディングスのPERは17~18倍であるから、他の私鉄と比べても割高なものだった。
確かに西武には、全国のプリンスホテルなど、保有している不動産を活用できるチャンスがある。中でも注目されるのが、紀尾井町計画(グランドプリンスホテル赤坂跡地)と、品川駅周辺に合計4棟あるプリンスホテル。ただし、目玉となる品川の再開発は、東京オリンピック後の20年以降で、「判断材料にならない」との声もある。投資家の声を総合すると「1500~1600円が妥当な線」(証券会社関係者)だという。…
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