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USJ、逆風に負けない"情熱"の上司説得術

2014年4月22日火曜日

■中小企業は攻め続けるしかない"クレイジー"なアイデアの根拠
「オープンすれば、日本中どころかアジアや世界からもハリー・ポッターファンが訪れ、必ずや投資以上の利益をもたらすでしょう」
この7月、巨額投資したハリー・ポッターの新エリア「The Wizarding World of Harry Potter」がオープンすると発表したUSJ。CMO、森岡毅は鼻息荒く語る。
しかし、である。誤解されがちなところであるが、現在のUSJはアメリカのユニバーサル社とは一切資本関係がない日本の単一企業だ。年間売上が800億円程度の企業が一つのアトラクションエリアに450億円もの投資をするのは、勇気どころか無謀と言ってもいいだろう。
しかも、森岡がこのアイデアを社内で発表したのは、彼が2000年に入社してから、わずか2カ月しかたっていない時期だった。
「当然、CEOのグレン(・ガンペル)は『私の死体を越えて行け!』と大反対でしたし、それ以外の経営幹部もほぼ全員が反対して、私のことを『クレイジーだ』と言いました。しかし、私はマーケティングのプロとして『今この球を打たなければ、将来的にもっと難しい球を打たなくてはならなくなる』ということだけはわかっていました。ビジネスとして正しい選択なのだから、説得するしかありません」(同)
お前は狂っている、どうしても実行したいなら私を殺してからにしろ。そんな罵られ方をしたら、ふつう、引き下がってしまうに違いない。だが、森岡はひるまなかった。むしろ、アドレナリンが湧き上がったとでもいうように前へ前へと突き進む。
■投資は毎年45億円より一度に450億円のほうが効率的だ
「ビジネスとして正しい選択だ」と言い切るには、それだけの理由がある。
第一に森岡が信じていたのは、ハリー・ポッターのブランド力の強さである。日本の中だけでみても、ベストセラー書籍のうち4冊はハリー・ポッターが占めている。また、映画館でハリー・ポッターシリーズを観た人は累計約7800万人。これは、『インディ・ジョーンズ』も『スター・ウォーズ』も、ジブリ作品でさえもかなわない圧倒的な数字だ。
「すぐに経年劣化してしまう中途半端な映画ブランド10個に毎年45億円ずつ投資するよりは、数年に一度、絶対に人気の衰えない強力なブランドに450億円投資したほうがよほど効率的です。私自身、USJに携わる前からのハリー・ポッターファンで、家にはシリーズすべての本とDVDがあります。

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