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カネボウが安全基準策定も 「目新しさなし」の業界評

2014年4月24日木曜日

 被害者数が1万8692人にも達したカネボウ化粧品の白斑問題。2013年7月に、同社が開発したロドデノールという有効成分が原因であると発覚した。それから約9カ月を経た4月21日に同社が実質的な「安全宣言」を行うことが週刊ダイヤモンドの取材で分かった。

 21日に発表するのは「新安全基準」。ホームページなどで公表し、5月にはドラッグストアなどに新安全基準リーフレット(写真)を配置する計画だ。カネボウ広報は、「安全基準の見直しを図っているが、現段階で決まったことはない」と明言を避けている。

 カネボウの品質保証関連部門は昨年8月に親会社である花王の品質保証部門に統合されており、安全基準や品質保証について花王が主導している。白斑問題の教訓から、より厳しく広範囲に安全性を確認するというのが新安全基準のコンセプトだ。

 リーフレットによると、新安全基準には「化学品・食品・家庭用品など異分野の(安全)情報まで収集」「(原料は)環境への影響という評価項目も採り入れ」「これまでよりも大規模な人数×長期間でのモニター実使用テストを実施」「複数アイテムの同時使用も実施」などが盛り込まれている。

 ある化粧品コンサルタントは「数値目標がないのでどの程度本気なのか分からないが、同業他社であれば当然取り組んでいる内容ばかり」と評し、別の業界関係者も「目新しい中身はない」と言う。

 ロドデノールは重ね塗りが被害を拡大させたといわれている。リーフレットによると、「製品に配合する10倍の濃度で安全性を確認」していたが、これからは「配合可能な最大濃度」まで試験するという。「これでやっと他社に追い付いたというレベル」(化粧品大手幹部)。他社では100倍程度の濃度で安全性を見ることもある。

「配合濃度が2%程度だったロドデノールについて、リーフレットにある通り濃度20%で安全性を確認していたならば、問題は事前に判明したのではないか」(同)と実験の存在を疑う指摘もある。

急ぐべきは原因解明

 7月にはユーザーが電話で気軽に相談できる「お肌の相談室」も開設する予定だが、現在もあるフリーダイヤルの「お客様窓口」と果たして何が違うのか。

 被害者のうち、完治またはほぼ回復した人がまだ2割強にとどまる。すでに完治した人を中心に、約5000人が和解に応じたもようだが、約4800万円の損害賠償を求めた裁判が進行中の他、集団訴訟も出始めており、裁判が本格化するのはこれからだ。

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