アサヒグループホールディングス(HD)の時価総額が1月31日、1949年10月に株式上場して以来初めて、ライバルのキリンホールディングス(HD)を抜いた。時価総額はアサヒHDが1兆3603億円、キリンHDが1兆3567億円だった。1月31日の終値はアサヒHDが前日比37円高の2813円。一方、キリンHDは6円安の1406円。アサヒHDの株価がキリンHDの2倍になった。ちなみに、昨年7月に株式公開したサントリーホールディングス(HD)の中核事業子会社・サントリー食品インターナショナルの同日の時価総額は1兆366億円、サッポロホールディングス(HD)は同1540億円である。
アサヒHDは2001年にビール類(ビール、発泡酒、第3のビール)のシェアでキリンHDを抜き、09年を除き、首位を堅持している。飲料でも11年にアサヒ飲料がキリンビバレッジを逆転しているが、今回さらに時価総額でも逆転を果たした格好となった。
●際立つキリンの不振ビール市場は、規模の縮小に歯止めがかからない。「まずはビールで乾杯」という世代の高齢化が進み、若者の間では「ビールは苦い」などと敬遠され、ビール離れが進んでいる。市場規模は1994年をピークに縮小中だ。ビール大手5社がまとめた13年のビール類課税出荷量は、前年比1.0%減の4億3357万ケース(1ケース=大瓶20本換算)。92年に現行の統計となったが、05年から9年連続で過去最低を更新した。
ビールと発泡酒の不振が続く中で伸びたのは、低価格が売りの第3のビールで、前年より2.0%増となり、全体に占める割合も第3のビールは36.5%で過去最高となった。
会社別のビール類のシェアは、アサヒビールが37.6%で4年連続のトップ。以下、キリンビール34.8%、サントリー酒類14.7%、サッポロビール12.0%と続く。順位に変化はなかったが、キリンビールだけがシェアを落とし、キリンの不振が際立っている。4月の消費税増税後は節約志向が一段と強まる。ビール風味のアルコール飲料である第3のビールに人気が集中するとの見方も強い。
右肩下がりの厳しい状況を受け、ここ数年、飲料業界では再編の動きが続いてきたが、ここでもアサヒHDとキリンHDは明暗を分けた。
アサヒ飲料は10年ほど前まで赤字に沈み、事業売却の噂が出るほどの弱小企業だったが、10年頃から飲料事業のM&A(合併・買収)に力を入れ、変身した。…
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