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ソニー、“汎用品”PS4好調は復活への序章?ネット+モバイル+メディア戦略の突破口か

2014年2月18日火曜日

 昨今のソニーを見ていると、まるで「二つのソニー」が別々に存在しているかのようだ。一つは、VAIOブランドに代表されるPC事業の売却とテレビ事業の子会社化を行ったソニー。もう一つは、昨年11月から海外で発売された据え置き型ゲーム機PlayStation 4(PS4)の売り上げが絶好調でゲーム事業の先を走るソニー。「没落と勝利」の二本立てといえる。

 PS4販売の先陣を切った北米では、発売から24時間で販売台数は100万台を突破し、昨年末までに販売台数が420万台を超えたとされている(ソニー・コンピュータエンタテインメント調べ)。ほぼ同時期に発売されたマイクロソフトの据え置き型ゲーム機Xbox Oneに正面から競り勝った。ただし、Xbox Oneとの差はわずかだ。PS4の基本セットは399ドル、Xbox Oneは499ドル(いずれも北米価格)で、100ドルの価格差がある上、Xbox Oneが中古ソフト売買の制限につき右往左往するなどスタートに失敗したことが影響しているためで、これらは戦略的な値下げや時の経過により、すぐに埋められそうな僅差だ。

 それにPS4はかつてのPS3のような「革新的なゲーム機」ではない。価格の割に高性能ではあるが、Xbox Oneを圧倒するほどのスペックを誇っているわけでもない。どちらも米大手半導体メーカー、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)の「Jaguarコア」(コアとはマイクロプロセッサの中核部分)を採用し、内部の構造も似たり寄ったりだ。「ありもののパーツを強化したゲーム用PC」といえるもので、PS3向けに開発されたCellプロセッサは影も形もない。

●「ものづくり」での敗北

 この選択は、複雑すぎてゲーム開発が困難だったPS3に対し、開発をしやすい環境を整えてソフトメーカーの参入ハードルを下げるとともに、高価なハードを買ってまでリアルなCGのゲームソフトを楽しみたいコアゲーマーを呼び込む上では、唯一の正解である。だが、ごくありふれた汎用品から構成され、ハード的には従来のプレイステーションの遺伝子を一滴も受け継いでいないPS4は「エレクトロニクスのソニー」の敗北を形にしたゲーム機だろう。

 あえて負けを認めるのは悪いことではない。現在のソニーのトップである平井一夫代表執行役社長兼CEOは、先代CEOのハワード・ストリンガーがジャーナリスト出身であったのと同じく、エレクトロニクス部門での経験はない。

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