ページ

株価大暴落時でも値を上げた 逆行13銘柄の地味な共通点

2014年2月24日月曜日

 防犯カメラや音響機器メーカーのTOA、キノコ生産・販売のホクト、照明機器や電光掲示板メーカーの岩崎電気──。

 日経平均株価の終値が1万4008円と前日比で610円下げた2月4日。株式市場では、お世辞にもメジャーとは言えないこうした銘柄が注目を集めた。

 東証1部約1800銘柄のうち、これら13銘柄だけが、前日終値から値上がりしたからだ。

 いくら大幅な下落とはいえ、13銘柄とはあまりに少ない。地獄絵図と化した4日の市場で、これらの銘柄だけがなぜ、値上がりを演じることができたのか。

 もっともこの13銘柄には、昨年末に一時9300円台をつけ、「値がさ株」として日経平均の上昇を演出した超人気銘柄・ソフトバンクも含まれる。4日は、前日終値の7064円から大きく下げて6714円で取引を始めたが、7211円で取引を終えた。

 同社は、約37%出資している中国インターネット大手・アリババ集団の上場観測で株価上昇期待があり、「周りの投資家仲間でも、いつかはソフトバンクを買いたいという声は多かった」(ある個人投資家)。安値目がけて買いが殺到した可能性がある。

 また、子会社工場で農薬混入事件が起きたマルハニチロホールディングスは、4日の終値は前日比1円増の172円。第3四半期の純利益が前年同期比39%減と3日に発表し、事件の業績への影響に一定のめどが立ったといえなくもないが、他の銘柄は、個別に見ても要因がわかりにくい。

 例えば、岩崎電気や、文具メーカーのコクヨは3日に業績の上方修正を発表したが、上方修正は他の企業でも相次いでいるし、円安で多くの製造業で業績が回復しているのは周知の事実だ。

 ある大手証券の市場担当幹部は「手だれの個人投資家が、空売りで得た現金の振り向け先として、普段は触らない銘柄を循環的に物色したためではないか」との見方を示す。

 ソフトバンク以外は、過去の長期的な値動きがさほど大きくないという共通点がある。この幹部は「長く値上がりしていない銘柄は、大きく下がることも少ない。個人も経験を積んで、下落相場をうまくしのいでいる」と指摘する。

縮こまる個人投資家

 もちろん、そんな器用な個人ばかりではない。松井証券によると、顧客の信用買い建玉に占める評価損の割合を示す評価損益率は、2月4日にはマイナス16.18%に達し、多くの追証(追加の委託証拠金支払い)が発生したという。

 さらに同社の信用買い残高は、1月下旬には3300億円を上回っていたが、2月7日には2800億円を切った。

0 件のコメント:

コメントを投稿

 

人気の投稿