「VIP メディア レセプション」。そう書かれた招待状を受け取った幸運な人たちは、ソニーの用意したバスに乗り込むと、市内の大型商業施設にあるフロアに案内された。
そこではおいしい料理や酒に舌鼓をうちながら、最新のソニー製品をじっくり触れることができる。そして、帰途につくメディア関係者のひとり一人に手渡された"お土産"は、なんと1台200ユーロ(国内価格は2万5000円)もするカメラだった。
こういったイベントで自社製品をプレゼントすることはよくあるが、この大盤振る舞いには、さすがに参加した人たちも目を丸くした。前年の音楽サービスの無料利用券と比べれば、その力の入れ具合は明らかだった。
「ソニーは自慢のカメラ技術にエレキの復活を賭けています。今回のイベントでは合計800台を現地に運び、メディアなどに贈呈しました」(ソニー関係者)
実際には、このパーティ以外にもソニーの発表会に参加したメディアにもカメラが贈られた。単純計算で約2000万円の費用がかけられたことになる。
カメラ生き残りの"進化系"なぜ、ソニーはそこまでカメラを前面に押し出すのか。
このカメラの名前は「サイバーショット QX-10」といい、不思議な外見をしている。一見すると、カメラではなく、単なる1本のズーム式レンズそのものだ。
しかしスマートフォンに無線通信で接続すると、そのまま「一眼カメラ」に"変身"させることができるユニークな商品だ。画素数は1890万画素で、暗闇でも明るく撮影できる自社製の裏面照射式というイメージセンサー(電子の眼)を搭載している。
そして、何よりもこのカメラはアップルのiPhoneや、サムスンのギャラクシーなどの競合メーカーのスマホにもぴったり装着できる優れものだ。
スマホの登場以降、コンパクトデジタルカメラの市場は激減。ソニーの看板商品「サイバーショット」もピークの2400万台(2010年度)から、今年度は半分以下の1000万台程度に落ち込む見込みだ。うかうかすれば事業存続が危うい(図参照)。
「スマホの登場でカメラを放棄した人は多い。その人たちにも、これならいいねと買ってもらえるものを作った」(商品企画部、濱口努統括部長)
これが生き残るための"進化系"だというのだ。…
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