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健康診断 -断れる検査、断れない検査

2013年10月9日水曜日

年に1回、会社で受ける健康診断。会社が費用を負担してくれるのはありがたいが、なかには体重やメンタルヘルスの結果など、人に知られたくない項目もある。断れる検査はないのだろうか。
法律によると、事業者は労働者に対して医師による健康診断を行う義務を負っている(労働安全衛生法第66条1項)。ただ、義務を負うのは会社側だけでない。じつは労働者のほうにも事業者が行う健康診断を受ける義務がある(同条5項)。
過労死のリスクを考えると、会社が労働者に健康診断を受けさせる義務を負っていることは妥当に思える。しかし労働者から見ると、健康診断の受診義務は大きなお世話。健康であろうとなかろうと自己責任でいいはずだ。それなのに、なぜ労働者にも義務づけられているのか。労務問題に詳しい前田陽司弁護士は次のように解説する。
「オフィスの仕事なら病気で休んでも他の人に迷惑をかけないかもしれません。しかし、バスの運転手さんが病気を隠して働いて事故を起こしたとしたらどうでしょうか。労働者には労務をきちんと提供する義務があり、そのために健康診断を受けることも義務になっているのです」
ならば絶対に健康診断を受けなければいけないのかというと、必ずしもそうではない。じつは健康診断には、法律で必須とされている項目と、そうでない項目がある。必須項目については、当然ながら受診拒否は不可能だ。必須でない項目についても、会社側の安全配慮義務や労働者側の健康保持義務の観点から、診断を受けさせる義務・受ける義務がある程度、認められている。しかし、仕事に関係がないものや就業規則に書かれていないものはグレーゾーンで、拒否できる余地があるのだ。
たとえばメンタルヘルスは法定外の項目だ。法律では時間外労働が月80時間を超えた人にカウンセリングを受けさせるよう決まっているが、そうでない人にまで定期健康診断で精神科の面接を受けさせるのはやりすぎで、拒否できる可能性は十分にある。
一方、必須項目である体重については測定を拒否できず、会社に内緒にしておくこともできない。残念ながら、「体重は個人情報だから教えたくない」という理屈も通らない。
「個人情報保護法では、会社が個人情報を取得する場合には従業員の同意が必要とされています。しかし、他の法律で定めがあるときは適用外。体重については労働安全衛生法に定められているので、個人情報保護法を盾に取ることはできません」(前田弁護士)
救いなのは、健康診断実施の事務に従事した人がそこで知りえた秘密を漏らす行為は法律違反ということだろう(労安法104条)。

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