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仕事と私生活の境目が曖昧になる……ウェブ社会で誰もが直面する煩悶への立ち向かい方

2013年10月8日火曜日

 なぜ、恋人がデート中に携帯電話をいじっているとイラッとするのか--。誰もが一度は覚えたことのあるそうした不快感の正体を理論的に説明し、現代社会の課題点を指摘する新著『ウェブ社会のゆくえ <多孔化>した現実のなかで』(NHKブックス)が刊行された。インターネットやスマートフォンが普及したことにより、あらゆる情報が行き交うようになった現在。便利になった一方で、我々は新たな煩わしさやトラブルに晒されるようになってしまった。そんな現実を、ビジネスマンはどうサバイブしていくべきなのか。著者の社会学者・鈴木謙介氏に話を聞いた。

--まずは、本書のキーワードとなっている<多孔化>という言葉の意味からご説明ください。

鈴木 「本来は、この場所ではこうあるべきだ」というTPOを超えて、外部から情報やコミュニケーションが出入りしてしまう状況のことを指す言葉です。現実空間に無数の穴が開くというイメージから<多孔化>と名付けました。抽象的な概念に聞こえるかもしれませんが、現実的に私たちが日々直面している状況だと思います。

--本書の中では、わかりやすい例として、「恋人がデートの時に携帯をいじっている」という状況も提示されていましたね。本著を読んで、「ああ、こういうことよくある」と身につまされる思いでした。

鈴木 世代にもよるみたいで、おじさん世代だと「そんなこともあるんですね」という感想が多かったけれど、若い世代は「あるある!」って(笑)。でも、会社の電話に子どもから電話が掛かってきても、「パパでちゅよー」って言えない感覚は、上の世代でもピンとくるんじゃないかな。職場にいる時に、恋人からLINEでメッセージが来たり、逆に食卓で家族が食事しながらスマホを見ていたり、といったことも同じです。その場の意味、家族といるなら「家庭という場」の意味を維持するためには情報やコミュニケーションが出入りするのをシャットアウトしなければいけませんが、実際には仕事上それができない状況のほうが多いでしょう。

--「現実空間の特権性」が失われてきたと、本著では表現されています。

鈴木 はい。デート中の携帯電話の例で言うと、不快に思うのはまっとうな感覚ですよね。でも、<多孔化>した社会では、「目の前にいる人が、どこか遠くにいる人よりも大切」という前提が相手に共有されているとは限りません。つまり、こうした状況が、現実空間の特権性が失われてしまっている状態なんです。

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