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<米国>原油輸出に解禁論 シェール革命で増産

2014年8月4日月曜日

 【ワシントン平地修】米国で、原油輸出解禁を求める声が強まっている。「シェール革命」で原油生産が急増する中、ガソリンなどへの精製能力の増強が追いつかず、国内消費量も頭打ちになっているためだ。第1次石油危機後の1975年以降、国産原油の輸出を事実上禁じていた米国が方針転換すれば、国際市場の原油価格の抑制に寄与。原油輸入の8割を中東に頼る日本にとっても、供給源の多様化につながる可能性がある。一方、米国内には「輸出よりも国内石油製品価格の値下げを優先すべきだ」との慎重論も多く、政府の検討には時間がかかりそうだ。

 ◇「軽質原油」は一部許可

 米政府は、原油の一種「コンデンセート」の輸出をテキサス州の2社に解禁。夏以降、日本や韓国向けの輸出が本格化する。コンデンセートは、ガソリンや灯油のたくさんとれる「軽質原油」の仲間で、重油やアスファルトの多い「重質原油」より価格が高い。

 米政府は石油資源確保のため、原油の輸出は禁じているものの、石油化学業界への配慮から、ガソリンや軽油など精製品の輸出は認めている。コンデンセートの輸出は、米商務省が「最低限の加工を施した精製品」と認定することで実現。条件付きとはいえ、原油のだぶつきに悩む米エネルギー業界は「コンデンセートは原油の一種。本格的な原油輸出の先駆けになる」との期待を高めている。

 背景にあるのが、シェール革命による原油生産の急増だ。米国では、シェール(頁岩(けつがん))層などから取れる「シェールガス」とともに原油の生産が活発化。原油生産量は、2008年の日量約500万バレルから、14年は推計800万バレル超の水準に増える。19年には約960万バレルになる見通しだ。

 ところが、メキシコ湾沿岸を中心とする原油精製施設は、主に中南米産の重質油の精製を想定している。米国産の軽質油向けでないため、増産分すべての精製は難しく、国内の原油がだぶつく恐れが出ている。米エネルギー省のモニツ長官は「生産が現在の精製能力と適合しない可能性があり、原油輸出について検討中だ」と発言。米国石油協会のジェラルド会長も「原油輸出の禁止は現実に即していない」と訴える。

 米調査会社IHSの報告書は、原油輸出解禁は16〜30年の年平均で生産量を日量120万バレル増加させ、100万人近い雇用やガソリン価格の低下などの経済効果を生むと分析。さらに「世界市場への供給が増え、国際的な原油やガソリン価格の低下につながる」と指摘する。

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