電通のブランドコンサルタントとして7年半、中国・北京で海外企業のブランディングを担当してきた岡崎茂生氏。グローバル市場において日本企業が存在感を示すことができない要因を肌で感じてきている。ブランディングに対する経営者の姿勢について、国内外の違いを分析してもらった。
ブランドとは企業の意思である私は他のブランドの専門家と違い、北京を拠点に広告とブランド戦略、コンサルティングをしてきました。その中で、日本企業のブランドへの取り組みは真剣さに欠けていると感じます。ブランドは経営資源です。経営は事業戦略とブランド戦略の2本柱が重要です。事業戦略は、適切な事業モデルを作り、収益を上げることが目的で、収益につなげるブランドという企業の価値シンボルを育てなければいけません。ところが、日本企業はブランドを経営資源として認識していないように映ります。
米MITが今年発表した世界のスマート企業50社ランキングというものがあります。トップは遺伝子解析などのテクノロジー企業のイルミナでした。2位がテスラモーターズ。以下、グーグル、サムスンと続きますが、日本企業は1つもありません。
一方で中国企業は3社も入っています。優良な日本企業があるにもかかわらず、世界で存在感を示せていないのです。ランキングで上位に入ることは目的ではありませんが、グローバルな市場に出て行かないということは機会損失していることなのです。
現在の日本企業がグローバル市場において存在感を見せられない理由は4つあると考えられます。まず1番目は、企業がブランドを経営資源と認識して真剣に投資していません。一方で中国企業は真剣にブランド育成に取り組んでいます。長らく中国の多くの製造業はOEM事業者でした。OEMではいい製品を作っても収益性に限界があることを、彼らは知っています。オリジナルブランドを持ち、しかもグローバルに展開していくことが、事業発展の要だと理解しているのです。
2番目に、市場でどのように商品を売っていくかというマーケティングに対して投資が不足しています。製品ごとの事業本部制になっていることが影響しているのでしょう。それぞれの製品分野で完結し、稼いだ利益の中からマーケティングに投資し、その一部をブランド投資にしています。しかし、そうすると肝心要の企業ブランドへの投資が欠けてしまうのです。
日本の企業は事実として歴史や実績、技術力があります。…
0 件のコメント:
コメントを投稿