2014年の相続税路線価は大都市圏で軒並み上昇した
さる7月1日に2014年の相続税路線価が発表された。これは相続税および贈与税の算定基準となる土地の評価額であり、とくに今年はその動向を注視していた人も多いだろう。2015年1月1日に相続税の大幅な課税強化が行われることになっており、土地を所有する世帯にとって路線価の上昇はダブルパンチになりかねないためだ。
2014年1月1日時点の相続税路線価は、宮城県、福島県、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、愛知県、大阪府の8都府県が上昇となった。その上昇幅は前年比で0.1%(埼玉、千葉)から2.4%(宮城)とそれほど大きくないが、とくに東京都では全48税務署管内の最高路線価が、横ばいの青梅を除き、すべて上昇となっている。下落が続く他の道府県でも、下落幅が前年より拡大したところはなく、「下げ止まりから上昇へ」といった傾向はしばらく続くことだろう。
民間の試算によれば、相続税の改正によって東京都区部では半数以上が申告対象(申告によって課税されないケースを含む)となり、全体の4分の1で課税されることになるようだ。しかし、この試算には路線価の上昇分が加味されていない。このまま路線価の上昇が続けば、そのぶん相続税が課税される人も増えていくと考えられる。
なお、2015年1月1日に実施される相続税法改正の主な内容については、【相続税の課税強化でどう変わるのか~あなたの家でも相続対策が必要になる?】を参照していただきたい。
過去には相続税路線価の大幅な上昇もあった
今後、大都市圏を中心としてどれくらいのペースで相続税路線価の上昇が続くのかを予測することは困難だ。しかし、バブル期の地価高騰は別にしても、それほど遠くない過去に大幅な上昇があったことを覚えているだろうか。
2005年までは路線価の下落が続いていたものの、2006年からは3大都市圏で上昇に転じた。2008年の路線価は、東京圏が14.7%、名古屋圏が10.9%、大阪圏が7.4%の上昇となり、全国平均でも10.0%上昇している。地点別にみれば、名古屋市内における50.0%を筆頭に、30%を超える上昇のところも多く見られたのが2008年である。東京都区部の平均上昇率がピークだったのはその1年前の2007年で、前年比20%近い上昇を示した。
しかし、2007年からの世界的な金融不安、そして2008年9月のいわゆる「リーマンショック」によって地価を取り巻く環境は急激に悪化した。…
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