田中貴金属工業(東京都千代田区)は19日、「金コロイド」と呼ばれる金の微粒子群を使って糖尿病かどうかを簡単に調べられる技術を開発した、と発表した。新興国では、糖尿病の患者が増える一方、診断が追いつかず悪化させてしまう例が多い。同社はこの技術を生かした簡易検査キットを普及させ、潜在患者の掘り起こしや早期診断・治療を目指す。
国際糖尿病連合の2013年の推計では、世界の糖尿病患者(20〜79歳)は3億8200万人。中国とインドだけで1億6300万人以上を占め、診断されていない潜在患者を含めるとさらに増えるとみられる。こうした新興国では、日常的に検診を受けたり病院を受診したりする環境が整っていないため、「予備軍」が放置されて患者が増え続けることが懸念されている。日本は患者数720万人で、世界10位。
血糖値の指標となる血中の「HbA1c」(ヘモグロビンエーワンシー)は従来、病院や検査機関でしか調べられなかったが、同社の技術を使うと、個人レベルでも検査できる。
歯間ブラシや針で、歯ぐきや指先から微量の血液を採取し、専用の溶液に溶かして調べる。HbA1cに金コロイドが結合して、特有の赤色を発色する特徴を生かし、診断の目安となる値「6.5%」以上で発色するよう調整した検査キットを使えば、糖尿病の可能性が10分で分かるという。
今後、中国、インド、ロシア、ブラジルなどの新興国でパートナー企業を探し、検査キット生産のためのノウハウや部品を提供する。早ければ来年には発売できる見通しという。すでに中国と台湾向けの製造・販売を目指すメーカーと契約。検査精度などを調べる臨床試験の準備に入っており、同社は「5年後には世界で年間1200万個の販売を目指したい」としている。
金は貴金属の一種。他の物質と反応せず安定しているため、医療応用に適している。同社は金をナノメートル(ナノは10億分の1)サイズの微粒子群(金コロイド)に加工する技術を持ち、金コロイドを用いたインフルエンザ簡易検査キットや妊娠検査キットのメーカーに供給している。【元村有希子/デジタル報道センター】
国際糖尿病連合の2013年の推計では、世界の糖尿病患者(20〜79歳)は3億8200万人。中国とインドだけで1億6300万人以上を占め、診断されていない潜在患者を含めるとさらに増えるとみられる。こうした新興国では、日常的に検診を受けたり病院を受診したりする環境が整っていないため、「予備軍」が放置されて患者が増え続けることが懸念されている。日本は患者数720万人で、世界10位。
血糖値の指標となる血中の「HbA1c」(ヘモグロビンエーワンシー)は従来、病院や検査機関でしか調べられなかったが、同社の技術を使うと、個人レベルでも検査できる。
歯間ブラシや針で、歯ぐきや指先から微量の血液を採取し、専用の溶液に溶かして調べる。HbA1cに金コロイドが結合して、特有の赤色を発色する特徴を生かし、診断の目安となる値「6.5%」以上で発色するよう調整した検査キットを使えば、糖尿病の可能性が10分で分かるという。
今後、中国、インド、ロシア、ブラジルなどの新興国でパートナー企業を探し、検査キット生産のためのノウハウや部品を提供する。早ければ来年には発売できる見通しという。すでに中国と台湾向けの製造・販売を目指すメーカーと契約。検査精度などを調べる臨床試験の準備に入っており、同社は「5年後には世界で年間1200万個の販売を目指したい」としている。
金は貴金属の一種。他の物質と反応せず安定しているため、医療応用に適している。同社は金をナノメートル(ナノは10億分の1)サイズの微粒子群(金コロイド)に加工する技術を持ち、金コロイドを用いたインフルエンザ簡易検査キットや妊娠検査キットのメーカーに供給している。【元村有希子/デジタル報道センター】
0 件のコメント:
コメントを投稿