フロイトやユングと並ぶ心理学の巨人・アドラーは、現代を生きる私たちに人生観が変わるほどの気づきを与えてくれます。その教えをわかりやすく説いた『嫌われる勇気』は今や40万部のベストセラー。本連載では『嫌われる勇気』の著者・岸見一郎氏が、職場や日常生活で起こりうる皆さんのお悩みを「アドラー流」に解決いたします。
今回のお悩みは、20代の女性によるもの。アドラー流の解決策はどのようなものでしょうか?
【今回のお悩み】
「上司運がなく仕事がうまくいきません。
すぐに怒り出す理不尽な上司と働くのが苦痛です。」(20代女性)
1年ほどまえに転職をしました。前の会社では同僚とはうまくいっていたのですが、とにかく癇に障る上司がいて、その上司が嫌で転職をしました。ところが今の職場でもまた変な上司にあたってしまいました。すぐ感情的になって意味もなく怒鳴る人で、その機嫌に振り回される毎日です。
入社する前はほぼ希望通りの転職ができたとやる気十分で、たった一人の嫌な上司のためにこのチャンスを無駄にするなんてありえないと、何でも前向きにがんばっていたのですが、最近は会社にいくのさえ憂鬱になってしまいます。
でも嫌なのはその上司だけなんです。その上司のせいでこんなに悩むこと自体腹立たしいのですが、このまま仕事をつづけるためにはどうしたらよいのでしょうか。
【アドラー流回答】
怒りとは、出し入れ可能な「道具」なのです。
気分に左右され、すぐ感情的になって理不尽に怒鳴る上司はたしかにいます。
部下もまわりの人間も、まるで腫れ物に触るかのように接しなければなりません。
仕事そのものに不満はなく、それどころかやりがいがあったとしても、このような上司のもとで働くことは、さぞかし苦痛でしょうね。
それでも、転職を選ぶのではなく今の仕事を続けたいというのであれば、その上司の元で働く方法を考えるしかありません。
部下の立場で感情的な上司に対してできることは、どれほど上司が理不尽な仕方で怒ったとしても、その「感情」には過度に注目しないことです。
アドラー心理学では、怒りの感情は何かを成し遂げるための「手段」として使用されると考えます。
ですので、その上司が怒りという「道具」を使って何をしたいのか、考えてみましょう。
多くの場合は、相手を屈服させることが目的です。屈服させて、自分が正しいということを認めさせたい。理不尽な怒りの場合は、ほぼこれでしょう。…
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