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金融改革の負担がバーター 預金保険料引き下げ議論

2014年8月4日月曜日

 銀行界の宿願だった、預金保険料の引き下げ議論が本格的に始まった。銀行としては、一見すると継続的なコストの圧縮につながる明るい話題なのだが、関係者にはもろ手を挙げて喜べない事情があった。

 預金保険料とは、銀行が入っている預金者を守るための保険の対価だ。仮に銀行が経営破綻しても、この預金保険料の積立金を取り崩すことで、預金者は1000万円までの預金が保護されるペイオフ制度が取られている。

 1995年度まで銀行は預金額の0.012%を保険料として支払えばよかったが、90年代後半の金融危機で事情が一変。旧住宅金融専門会社(住専)の処理などで預金保険の積立金が96年度にはマイナスに転落。その後も北海道拓殖銀行など度重なる銀行の経営破綻で、積立金の流出は続いた。

 そこで危機対応として、96年度から保険料率は0.084%へ7倍まで引き上げられた。現在もこの水準が続いており、業界全体で支払う預金保険料は年間6000億円に上る。この負担の軽減が、かねて銀行界の望みだったのだ。

 その大きなチャンスが2010年度に訪れた。02年度に最大4兆円まで膨らんだ積立金のマイナスが、プラスへ転じるタイミングだったのだ。銀行界は「翌年度からの預金保険料引き下げを当局へ持ち掛けた」(地方銀行関係者)。

 ところが、10年9月に日本振興銀行が経営破綻し、初となるペイオフが発動。再び積立金が流出したことで、その機運は一気にしぼんでしまった経緯がある。そのため、今回の動きは銀行界にとって「ようやく」という思いが強い。

政治のカードと化した

 だが、世界中でいつの世も"悪者"にされがちな銀行界だけに、コストが下がってめでたしでは終わらない。早速、政府・与党内から預金保険料引き下げのバーターを求める声が上がっているからだ。

 その背景には、自由民主党・日本経済再生本部がまとめ、政府の新成長戦略のたたき台となった提言書、「日本再生ビジョン」がある。

 そこに盛り込まれた大きなテーマの一つに金融の抜本改革があるが、銀行界が特に警戒するのが振込制度の改革だ。提言書の中では、24時間365日の即時決済を実現させている海外の事例を持ち出し、平日の7時間だけに限定されている日本の銀行界には、抜本改革が必要だと迫っているのだ。

 ただ、実現すれば便利にはなるものの、ニーズの強さは不透明で、提言書内でうたう労働生産性の向上にどこまでつながるのかも未知数。

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