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<中国スマホ>「格安」武器にシェア拡大 先進国にも攻勢

2014年8月17日日曜日

 【北京・井出晋平】世界のスマートフォン市場で、中国メーカーのシェアが拡大している。米調査会社IDCによると、今年4〜6月期は、首位の韓国サムスン電子と2位の米アップルがシェアを落とした一方、中国の大手「華為技術(ファーウェイ)」、「聯想(レノボ)」の2社が大きく伸びた。日本で販売が始まった、通信料金の安い「格安スマホ」にも採用されており、先進国市場でも存在感を高めようとしている。

 北京市内の携帯電話販売店では、ファーウェイ、レノボのスマホが799元(約1万3500円)で売られている。最新機種でも2800元程度で、5000元以上するアップルの「iPhone(アイフォーン)」の半額ほど。中国の新興メーカー「小米科技(シャオミ)」も若者受けするデザインで急成長している。

 IDCによると、4〜6月期の世界のスマホ出荷台数は、前年同期比23.1%増の3億130万台(確定値)と四半期では過去最高を記録した。だが、サムスンのシェアは7ポイント、アップルは1.1ポイント下落。これに対し、ファーウェイは出荷台数を前年同期より95%、レノボは約4割増やし、シェアはそれぞれ2.6ポイント、0.7ポイント上昇した(いずれも速報値ベース)。台湾製の安い半導体部品を先進国に先がけて採用し、機能を維持しつつ価格を抑えたことや、出荷台数で世界の約4割を占める中国市場に足場を持つことが寄与したとみられる。東南アジアやインド、中東での伸びも大きく、7月にインド市場に参入したシャオミは、約2万3000円程度の端末をインターネット販売したところ、2万台を2.4秒で売り切った。

 先進国への進出も目指す。レノボは1月、米携帯大手モトローラ・モビリティの買収を発表した。同社のブランドを利用し、欧米市場に切り込む。日本でも、格安スマホを展開するビックカメラなどが、中国メーカー製を採用。格安スマホの人気が高まれば、日本でも中国メーカー製の売り上げが伸びる可能性がある。

 先進国の電機メーカーはかつて、パソコンや液晶テレビで低価格の中国勢に市場と利益を奪われた。「スマホ事業も低価格競争が本格化すれば同じ道をたどりかねない」との懸念が現実味を帯び始めている。

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